- 塩崎利雄
- (株)GIプロジェクト プロジェクト部長 兼 診断士 (関東)
約50年の競馬記者生活から、競馬界では知らない者がいないとまで言われる。ジャパンホースサークルの代表をしていた傍ら、日刊ゲンダイで止まり木ブルースを現在も執筆。本も出版されるほどの人気を博している。
『佐藤隆夫さんの取材をお願いしたい。』
突然舞い込んできた某関係者への取材依頼。
しかも「できるだけ早く」「佐藤さんには桑嶋くんから連絡して欲しい」と、なにやらただ事ではない様子。
「佐藤さんの所属するコンフィデンシャルがGIプロジェクトに加わるらしいんです。こちらから取材しようとしても、返事が芳しくないので、桑嶋さんならと思ったんですけど…。」
と電話口の言葉。
はい!?
GIプロジェクト?
実は私桑嶋、全く別の件で、このGIプロジェクトに取材を申し込み、2度断られている過去がある。
「顧客である個人馬主の利益を損なう可能性がある為、全ての取材を断らせていただいている」
という取り付く島もないほどの毅然とした姿勢。
2度目の取材の際に、知り合いの伝で会社パンフレットを手に入れるなど、事前にかなり勉強したことで、個人馬主を対象に、馬主経営のトータルサポートを行っている企業ということは知っている。
以前のメモ書きがあるので書き出してみたい。
- 発足は1994年。
- 馬主活動における収益率向上の為に、個人馬主が出資し組織された。
- 具体的に、顧客(馬主)に対しサラブレッドの仕入れ、初期育成、入厩時・退厩時管理、レース戦略、矯正方法など、馬主経営に関わる全ての部分においてサポートを行っている。
- 馬主支援事業だけでなく、牧場・厩舎・騎乗者・育成といった事業も運営している。
- 1997年に[勝ち馬投票支援事業]発足。
- 顧客(馬主)に対して[勝ち馬投票支援]を行っている。
実際は6ページ分が埋まるくらいのメモ書きがあるのだが、要点を求めるとこんなものか。
ちなみに [勝ち馬投票支援]とは、ズバリ馬券情報のことである。
- 佐藤隆夫
- (株)GIプロジェクト プロジェクト部長 兼 診断士 (関西)
専門紙1馬(現在は優馬)の関西版で、長年本紙を担当。
本紙担当であるにも関わらず、ポツン◎は新聞購入者に衝撃を与え続けた。コンフィデンシャルでは、買い目選定本部の統括本部長を務めていた。
『とりあえず佐藤さんに連絡してみます。後ほど、連絡します。』と依頼主に伝え、あれこれ考えても仕方がないと、10年以上の付き合いの長さを信じ、佐藤隆夫さんに連絡してみる。
佐藤『おう、久しぶり。どうした。』
桑嶋『佐藤さん、GIプロジェクトのことで取材させて欲しいのですが。』
しばらく無言。自分でもテンパリすぎて、あまりにも唐突に用件を伝えてしまったことを後悔すること30秒ほど。
『とりあえずGIに連絡してみる。また電話する。』と、何分か前にどこかで聞いたようなことを言われて電話を切られてしまう。
約10分後、佐藤さんからの電話。
『いいよ。今日の3時くらいでいいかな。事務所に…あとカメラマンも連れて来なよ。』
『は、はいぃー。』
カメラマン?今日の3時?スケジュールや予定など全く考えずに返事してしまったが、何はともあれ取材はOK。その旨を依頼主に伝え、カメラマンを手配してもらい、いざ取材へ。
約束の時間の10分前、赤坂にある某事務所に到着。事務員と思わしき女性に応接室に通される。
『失礼します。』
とドアを開けた私の目に真っ先に飛び込んできた人物は佐藤さん…ではない。
『どうもはじめまして』
し、塩崎利雄!!…さん…先生。
『やめてくれよ先生なんて(笑)そんながらじゃねぇよ。』
その奥で佐藤さんがニヤニヤと笑っている。