【競馬サロン】読者の皆さん、こんにちは。

調教ライター・西村武輝です。

今週は秋中山名物、伝統の古馬GII「オールカマー」が開催。

“癖がある”とされる中山芝2200mが舞台とあって、リピーターの活躍が目立つ傾向にありますね。近年では2021年2着ウインキートスが翌2022年には3着。

今年もリピーターが上位に食い込むのか、それとも……

まずはシンプルに調整過程と動きの部分での気配評価、採点を行った以下のレポートをご確認ください。週末にはこの「調教診断」を軸として調教ライター・西村武輝の「印・見解・買い目」を公開する重賞の最終結論コラムもお届けいたします。こちらもどうぞご期待ください。

それでは以下「オールカマー」全頭追い切り診断となります。

●9月22日　オールカマー（GII、中山、芝2200m）
　
■アウスヴァール　古川吉騎手騎乗　栗東CW単走　1週前に速い全体時計を出しており、今週は不動の主戦が息遣いを確認した程度。序盤はしっかり折り合って進み、ラストは鞍上が体調の良さを確認するように促すと、体を沈めて切れた。夏場に稼働してきた疲れをまったく感じさせず、高いレベルで好調維持。【7】

■アルビージャ　助手騎乗　美浦坂路併せ馬　1勝クラスと併走に持ち込み、余力を残して併入としている。力強さにまだ若干物足りなさこそあるものの、26カ月ぶりの前走で好走した反動を感じさせず、この中間しっかり時計を詰めているのは好感。上積みだけ見込める状況。【7】

■キラーアビリティ　助手騎乗　栗東CW単走　序盤から強い前進気勢を見せ速いラップを刻むが、脚はなんとか残っていた。ラストは馬場の真ん中をブレのないフォームで進み馬なりのまま加速。折り合い面に課題を残すが、悪くない仕上がりと言える。【6】

■サヴォーナ　横山武騎手騎乗　栗東坂路単走　1週前にCWで猛時計をマークしており、今週は初コンビとなる鞍上が感触を確かめることに専念したような内容だった。まったく無理をさせなかったが、ラストは馬自身が気持ちを乗せ大きなストライドで駆け抜けている。中9週とひと息入っているのを感じさせない、上々の気配。【7】

■サリエラ　戸崎騎手騎乗　美浦ウッド併せ馬　1勝クラスを追走し、巧みなコーナリングから直線手前で取り付いていく。併走では相手がギアを上げれば即座にこちらも加速する機敏さを見せ、最後まで相手に合わせるようにして併入。5F65秒4（馬なり）という全体時計は申し分なく、リフレッシュ効果はてきめんか。抜群の仕上がり。【8】

■ステラヴェローチェ　横山典騎手騎乗　栗東坂路単走　前を行く馬を視野に入れて気持ちを乗せつつ、併せには行かず無駄な消耗を避ける絶妙な調整。ラストまで馬なりを保って長くいい脚を使えていた。追い不足に思えた前走で好走した反動は感じられず、大幅な上積みがありそう。【7】

■ナイママ　丹内騎手騎乗　美浦ウッド単走　序盤は集中を欠くような、やや覇気に乏しい雰囲気で進んでいく。ゆったりとした入りで脚は残っていたはずだが、促しへスッと反応できず一本調子の走りに留まっていた。乗り込みは順調で体調面は安定していそうだが、前走からの変わり身は強調しづらい。【5】

■ニシノレヴナント　助手騎乗　美浦ウッド併せ馬　デビュー前の2歳新馬を外からマクる併せ馬。手応え優勢で抜き去っての先着は相手を考えれば当然として、5F65秒3（馬なり）という時計は上々と言える。1週前追いではかなりモタモタしていたが、この動きなら問題なく走れそう。【6】

■フェーングロッテン　騎手候補生騎乗　栗東坂路併せ馬　1週前にCW併せ馬で速い時計を出したのが実質の最終追い。今週は終い重点の併せ馬でバランス確認に主眼を置いたような内容だった。相手が終いにまずまずの加速を示すが、フェーングロッテンはこれにスッと対応し、馬なりを保って併入に持ち込んでいる。久々にしてはいかにも手緩い仕上げだった前走時と比較し、この中間は一気に攻めを強化。上積みは相当ありそうだ。【7】

■ミクソロジー　助手騎乗　栗東坂路併せ馬　1週前に強い負荷を掛けられており、今週はリラックスして久々のレースに臨めるようにと意識した軽めの調整。新馬と併走し、まったく無理をさせず併入とした。気持ちは続いていたが、時計面の強調材料は乏しい。1週前もデビュー前の新馬2頭に先着を許していたし、19カ月ぶりとなるここを使ってからだろう。【4】

■ヤマニンサンパ　助手騎乗　栗東坂路単走　終い重点の調整。道中はややモタれ気味でバランスの悪さがあったが、手前を替えてからのラストの伸びは豪快そのもの。このひと追いで走れる態勢は整ったか。【6】

■ラーグルフ　助手騎乗　美浦ウッド併せ馬　1勝クラスを4馬身追走。4角過ぎで楽に取り付くと、直線ではいい手応えのまま一気に抜け出て1馬身の先着を果たした。抜け出した後も気持ちを維持して加速できており、久々とは思えない気迫があったのはいい。好気配。【7】

■リカンカブール　藤懸騎手騎乗　栗東坂路併せ馬　2勝クラスに取り付いて併走。騎手騎乗の追い切りだとピリッとするのか、ラストは滑らかな加速を見せ併入としている。いかにも急仕上げだった前走時よりはいい状態で走れそうだ。【6】

■レーベンスティール　助手騎乗　美浦ウッド併せ馬　稽古駆けする準オープン馬を3馬身追走する最終調整。稽古駆けする相手を余力十分のまま直線半ばでキャッチアップし、併走に持ち込むとアオり気味に併入とした。仕掛ければいつでも抜け出せそうな雰囲気にあり、ほぼ万全のデキにある。【7】

■ロバートソンキー　伊藤騎手騎乗　美浦坂路併せ馬　準オープン馬を1秒追走し、序盤からハイラップを刻むハードトレを敢行。軽快に飛ばす相手になんとか食らいつくが、手応えは完全に劣勢。ステッキが数発入る仕掛けでなんとか伸び、2馬身差まで詰め寄った。遅れ入線も、時計は自己ベストに0秒1まで迫る4F50秒6（一杯）。馬なりオンリーかつダートと“お試し復帰”感が強かった前走を経て、この中間は一気に攻めを強化。完調にはあと一歩も、着実に気配良化と言える。【6】


＜追い切り評価＞は最終追いを含めた中間の調整全体の総合評価となり、10段階評価（10が最高、1が最低）です。