フェブラリーSが終わり、今週から春の中山・阪神開催がスタートする。

最高気温がひと桁台という今の気候と春競馬がどうしても結びつかないのだが、競馬界に携わる人たちはとっくに春モードに切り替わっているはず。私も気持ちを切り替え、春競馬のスタンスで臨みたい。

さて、今回のテーマは「春の中山・阪神の攻略ポイントおさらい」。

わずかなインターバルを挟んだ中山はともかく、阪神開催は今年初。約2カ月の“休み明け”を経て、どのような傾向の変化が生まれるのか……何よりも注視すべき部分だ。


攻略ポイントを書く前に、まずは前回東京・京都開催を振り返りから。


【東京】
芝の時計は例年並み。上がりの速いレースが多く、中山→東京替わりで巻き返したケースが目立った。クイーンCを逃げ切ったテトラドラクマなどはその典型だろう。

ダートは後半の開催では砂塵が舞うほど乾燥が進行しており、パワー優先の馬場。先週日曜は前が止まらない馬場を意識するあまり、ハイペースでの差し決着が相次いだ。

【京都】
極悪馬場の連続だった昨秋の影響を引き継いだのか、例年のような前残りのイン有利馬場はほとんど出現せず。シンザン記念週や京都記念をはじめ渋った馬場での施行が多かったことで開催終盤は外差しの傾向が顕著に現れた。

ダートで興味深いのは渋った馬場にもかかわらず時計を要した2回京都1-2日目の開催。かなり特殊な状況下ゆえ、好走も凡走も鵜呑みにはできない。

ここまで前開催を振り返ってみたが、注目はやはり例年と異なる京都芝の馬場傾向だろう。高速馬場からは程遠く、長めの距離をこなせるスタミナに秀でた馬がズバッと差してくるレースが続出した開催終盤……京都→良好な馬場コンディションが想定される阪神芝替わりでのトラックバイアスは、危険な人気馬と穴馬両方を浮かび上がらせる効力を持つと私は捉えている。


ここからは春の中山・阪神の攻略ポイントを挙げていきたい。


【中山・芝】

この開催は芝1800m重賞が4鞍も組まれている（中山記念・中山牝馬S、フラワーC、スプリングS）。昨年コラムでこの4レースの特徴を記したが、改めてお伝えしたいと思う。

・中山記念
大阪杯、ドバイへの前哨戦（有力馬は次走を見据えた仕上げ？）

・中山牝馬S
引退馬が多いハンデ戦（悔いを残さないよう各馬の戦法に変化なし？）

・スプリングS
皐月賞の前哨戦（GIへの賞金がギリギリの馬はメイチ仕上げ？）

・フラワーC
非トライアルのG3（1番人気馬の逃げ切りが多く2.3着に差し・追い込みが多い理由は？）

同じ中山芝1800m重賞という条件であっても、違いがはっきりと浮かび上がる。もちろんこの読みが正解であるとは限らないが、クラスや開催時期、メンバーが違う条件では好走馬の傾向も異なるという点は頭に入れておきたい。

【中山・ダート】
こちらは馬場傾向に大きな変化はないと予想する。セオリー通りダート1200mは外枠の逃げ・先行馬、ダート1800mは3-4コーナー付近からマクッていける差し馬が信頼できるだろう。


【阪神・芝】
開催前半の馬場は例年の傾向を踏襲すれば「前残り・イン有利馬場」が出現すると私は睨んでいる。積極的に狙いたいのは、外差し馬場の京都・中京で先行し潰れてしまった馬の巻き返し。反対に、差し優位の京都・中京での好走（特に連続好走）は疑ってかかりたいところだ。

【阪神・ダート】
京都→阪神替わりで注意すべきは直線急坂コースに替わること。とはいえ先ほども挙げたように冬の京都開催は時計が極端にかかる週があった。「時計のかかるタフな京都ダート」で先行したうえで好走したとなれば、評価を下げるどころかむしろ上げる選択肢も考えるべきだ。


以上のような攻略ポイントを述べてきたが、今回のコラムはブックマークなどをしたうえで定期的に読み返すことをオススメする。私自身に言い聞かせる意味でもあるが、不的中など、精神状態が不安定になる恐れのある状況が続くと“予想の原点”を見失いがち。ぜひ予想の参考にしていただければ幸いだ。

最後に、季節の変わり目を迎える春競馬は悪天候に祟られることも多く、渋った馬場の施行も多くなる。気温が上がることで、いわゆる“冬馬”と春競馬から使い出される馬との調子が入れ替わる時季でもあり、フレッシュな状態で臨む馬がその勢力図をどんどん広げていくことだろう。次走への明確な意図がはっきりと分かれるトライアルレースにおいてはその限りではないかもしれないが……。

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