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競馬サロン

齋藤翔人

2023/06/02 19:00

【鳴尾記念】姉の背を知る鞍上を迎え、巻き返しを図るグラティアス

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競馬の祭典・日本ダービーも終わり、今週から2歳戦がスタート。一方、6週連続でおこなわれてきたGIを締めくくる安田記念には、掉尾を飾るにふさわしい超豪華メンバーが顔を揃えました。

そして、土曜阪神のメイン鳴尾記念も、出走15頭中10頭が重賞ウイナーという、GIII格付けがもったいないくらいの好メンバー。近年は、当レースで連対を果たしたジェラルディーナやメールドグラースが後にGI馬となり、ラブリーデイもこのレースと宝塚記念を連勝しました。今年の連対馬の、その後にも注目です。

さて、鳴尾記念の予想に入る前に、先週の振り返りを。取り上げるべきは、やはりダービーでしょう。

勝ったのはタスティエーラ。4着までタイム差なしの大接戦を制し、世代の頂点に立ちました。

レースは、スタートでドゥラエレーデが落馬する波乱の幕開け。そんな中、飛び出したのは前走のプリンシパルSを逃げ切ったパクスオトマニカで、タスティエーラは5番手。その直後にソールオリエンスがつけ、ファントムシーフはちょうど中団に位置していました。

前半1000m通過は1分0秒4の平均ペースながら、パクスオトマニカはこの時点で5馬身以上のリードをとっており、実質2番手以下はスロー。ここでポジションを押し上げた松山弘平騎手とハーツコンチェルトはファインプレーでしたが、それだけに、スタートで二の脚がつかなかったことは悔やまれます。

パクスオトマニカはその後も軽快に逃げ、3コーナーのカーブでリードは10馬身以上。ただ、隊列に大きな変化はなく、上位人気馬はすべて中団やや前に位置し、そのまま直線の攻防へと移ります。

結果的には、この中で最も前に位置していたタスティエーラが残り200mで先頭に立ち、後続の猛追を凌ぎ切って1着ゴールイン。圧倒的人気のソールオリエンスは直線で前が詰まり、エンジンがかかるまで少し時間を要したためクビ差及ばず2着となり、以下、ハーツコンチェルト、ベラジオオペラがそれぞれハナ差で続きました。

勝ち時計は2分25秒2で、例年に比べればやや平凡なタイムでした。というのも、馬場差があるので単純比較はできませんが、同日4レースの未勝利戦は、芝1600mで1分32秒8と非常に速いタイムで決着していたのです。

もちろん、4レースのレベルが非常に高かった可能性はあります。ただ、過去2年もダービー当日の4レースには芝1600mの未勝利戦が組まれており、勝ち時計はともに1分33秒7。対してダービーは、2021年が2分22秒5で、22年は2分21秒9。そのため、少なくとも時計面では、やや疑問が残るレベルだったと思います。

また、勝負事にタラレバは禁物と言われるかもしれませんが、そのような決着だっただけに、ドゥラエレーデが落馬していなければ。はたまた、スキルヴィングが心不全を発症していなければ……とも、思いたくなってしまいます。

タスティエーラに話を戻すと、なんと左前脚を落鉄していながらの勝利。皐月賞では超ハイペースの中、先行馬では唯一上位入着を果たしながら、レース後は派手な追込みを決めたソールオリエンスばかりに注目が集まりました。

もっとも、これはある意味仕方のないことで、私も今回は同馬に本命を打ちましたが、皐月賞で最も強い競馬をしたのはタスティエーラだったということを、まさに結果で示しました。

将来性でいうと、近年のダービー馬は、古馬になってからなかなかGIを勝てませんが、現時点のレベルが平凡だとするなら、逆に伸びしろがあるとも考えられます。

というのも、血統的にはやや奥手で、父サトノクラウンが初めてGIを制したのは4歳秋。一方、母父マンハッタンカフェも菊花賞でGI初出走初勝利を成し遂げています。

さらに、同じクラフティワイフ牝系出身のトーセンジョーダンは、5歳秋の天皇賞。カンパニーに至っては、8歳秋の天皇賞で初めてGIを制しており、タスティエーラの未来は明るいといえるのではないでしょうか。

さて、当コラムでは、ディープインパクト産駒もキングカメハメハ産駒も出走しない今年のダービーを「新時代のダービー」と書いてきました。とはいえ、その一戦を勝利するのがサトノクラウン産駒になるとは、夢にも思いませんでした。

サトノクラウンといえば、現役時、持久力を武器に非根幹距離や道悪のレースで活躍。一方、直線の伸びとスピードが要求されるダービーは、同厩のドゥラメンテに完敗しています。そのため、タスティエーラが弥生賞ディープインパクト記念で父仔制覇を達成し、続く皐月賞で好走したことにもなんら驚きはありませんでしたが、まさかダービーを勝つとは……。

ということで、情けない話ではありますが、来年のダービー馬を送り出す種牡馬。さらには、次代のリーディングサイアーも、ますます見当がつかなくなってしまいました。こんな状態では、今週から始まるPOGもまるで勝てる気がしません(苦笑)

と、落ち込んでいても仕方ないので、そろそろ予想に移ります。

今回は、3年ぶりに阪神で開催される鳴尾記念の過去5年を深掘り調査。重視できそうな指標を探し出し、そこから予想を組み立てます。

(1)馬番
(2)前走クラス
(3)前走頭数
(4)毛色
(5)馬主
(6)生産牧場
(7)前走枠順
(8)前走馬体重
(9)馬齢
(10)前走距離

近年の傾向から重視できそうな指標は、上記10項目。かなり多くなってしまいました。その中で、まずは(1)。今回の馬番です。
鳴尾記念は、外枠不利のレース。10番より外に入った馬は[0-0-0-14/14]と、厳しい結果に終わっていました。

一方で、今回の馬番が1から9番。なおかつ、前走上がり8位以内の馬は[4-3-3-10/20]。勝率20.0%、複勝率50.0%。単勝回収率308%、複勝回収率152%。素晴らしい成績を収めています。

(2)は、前走クラスについて。
ラヴズオンリーユーやブラストワンピースなど、GI馬も出走してきた当レース。前走、芝の良馬場もしくは不良馬場。かつ、GIかGIIに出走した馬は[2-2-4-8/16]。勝率12.5%、複勝率50.0%。単勝回収率240%、複勝回収率130%と、こちらも素晴らしい成績を収めていました。

次は(3)。前走の頭数です。
鳴尾記念は、前走14頭立て以下のレースに出走。かつキャリア20戦以下の馬が強く[3-2-3-7/15]。勝率20.0%、複勝率53.3%。単勝回収率400%、複勝回収率182%と、好成績です。

続いては(4)。毛色について。
どういうわけか、黒鹿毛が強い当レース。それだけで、複勝率は33.3%。単複の回収率は100%を超えています。

とりわけ、前走8着以内の黒鹿毛は[3-3-2-6/14]。勝率21.4%、複勝率57.1%。単勝回収率201%、複勝回収率173%と、超抜の成績でした。

(5)は馬主です。
過去に一度だけ、有馬記念の予想で取り上げましたが、鳴尾記念もまた、いわゆるクラブ法人の所有馬が強いレース。やや乱暴な括りですが、キャロットファーム、シルクレーシング、サンデーレーシングが所有し、なおかつ前走9番人気以内だった馬は[4-2-2-6/14]。勝率28.6%、複勝率57.1%。単勝回収率335%、複勝回収率147%。こちらも超抜の成績でした。

折り返しの(6)は、生産牧場について。
(5)とやや重なりますが、当レースでも強さを発揮する「絶対王者」ノーザンファーム生産馬。中でも、今回奇数番を引いた同場生産馬は[2-3-2-6/13]。勝率15.4%、複勝率53.8%。単勝回収率278%、複勝回収率142%と、抜群の成績。

この中には、11番以降の奇数番も含まれますが、前述したとおり、好走しているのは9番まで。その点、注意が必要です。

(7)は、前走の枠順。
前走外枠を引いた馬が巻き返す当レース。前走5枠から8枠に入り、ロイヤルチャージャー系以外の種牡馬を父に持つ馬は[3-2-2-6/13]。勝率23.1%、複勝率53.8%。単勝回収率224%、複勝回収率162%。(6)と同レベルの成績でした。

終わりが見えてきた(8)は、前走の馬体重について。
鳴尾記念は、超大型馬か小柄な馬が有利なレース。まず、前走馬体重が520kg以上の馬は[2-1-1-8/12]。勝率16.7%、複勝率33.3%。単勝回収率220%、複勝回収率114%と、まずまず。

一方、前走460kg未満で出走した馬も[1-2-1-6/10]。勝率10.0%、複勝率40.0%。単勝回収率335%、複勝回収率153%と、こちらもまずまずの成績でした。

(9)は馬齢。
複勝率が58.3%と、4歳馬の好走が目立つ鳴尾記念。中でも、前走4コーナーで6番手以下に位置していた4歳馬は[1-2-3-3/9]。複勝率66.7%、複勝回収率108%と、恐ろしいほどの成績。

一方、ロイヤルチャージャー系とネイティブダンサー系以外の種牡馬を母の父に持つ5歳馬も[3-1-0-2/6]。勝率50.0%、複勝率66.7%。単勝回収率523%、複勝回収率271%。数は少ないものの、前述した4歳馬と変わらないレベルの好成績です。

そして、最後は(10)。前走距離について。
距離短縮組が強さを発揮する鳴尾記念。前走2200m以上のレースに出走していた馬は[2-0-1-5/8]。勝率25.0%、複勝率37.5%。単勝回収率480%、複勝回収率148%と、まずまずの成績でした。

これら10項目を踏まえ、印と買い目を下記のとおりとします。

◎1  グラティアス
○4  フェーングロッテン
▲9  アドマイヤハダル
☆6  インプレス
△2  カラテ
△7  マリアエレーナ
△12 ボッケリーニ
△3  ディアマンミノル
△14 ソーヴァリアント
△11 ヒンドゥタイムズ
△10 サトノルークス
△13 マイネルファンロン


【買い目】

・単勝 1
・馬単マルチ 1=2、3、4、6、7、9、10、11、12、13、14 計22点
・ワイド 1→2、3、4、6、7、9、10、11、12、13、14 計11点
・3連複ボックス 1、4、6、9 計4点


本命候補は、グラティアス、フェーングロッテン、インプレス、アドマイヤハダルの4頭。いずれも魅力的ですが、最内枠のグラティアスを本命にしました。

2歳女王レシステンシアの半弟グラティアスは、デビュー2連勝で京成杯を制覇。続く皐月賞は、勝ったエフフォーリから0秒7差6着。ダービーも、シャフリヤールから0秒6差8着と大きく負けていませんが、京成杯から2年以上勝ち星がなく、気付けば14連敗。その間に転厩も経験しました。

ただ、今回は京成杯と同じ久々の2000m戦で、コーナーを4度回るコース。絶好枠を引いた上に、コンビを組むのがレシステンシアの主戦騎手を務めた北村友一騎手ですから、狙わない手はありません。

馬券は、グラティアスの単勝と、同馬からの馬単マルチ、ワイド。さらに、本命候補となった4頭の3連複ボックスを購入。インプレスが絡むとかなり大きな配当になりそうなので、こちらも全力で応援します。

それでは、土曜日も競馬を楽しみましょう。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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