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競馬サロン

齋藤翔人

2023/09/23 19:00

【オールカマー】 豪華メンバー集結で見所の多い一戦。注目は、レース史上2頭目の連覇が懸かるジェラルディーナ

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非根幹距離かつ小回りでおこなわれる重賞は、複数回好走する、いわゆる「リピーター」が出現しやすい条件。今年のオールカマーも過去2年の勝ち馬、ウインマリリンとジェラルディーナが二度目の勝利をかけて出走します。

ただ、マツリダゴッホという3連覇を達成した異次元のリピーターはいるものの、グレード制導入以降の当レースで、複数回3着内に好走した馬は計9頭。これは、同じ条件でおこなわれるアメリカジョッキークラブCと同数ですが、1800mでおこなわれる中山記念は、計16頭と倍近い数字。オールカマーのリピーターはもう少し多いと思っていただけに、やや意外でした。

そして、9月21日に老衰のため27歳でこの世を去ったことが報じられたスティンガー。この馬もまた、古馬になってから強豪牡馬相手に非根幹距離の京王杯スプリングCを連覇した名牝です。

社台ファームで生を受けたサンデーサイレンス産駒のスティンガーは、全姉にGII2勝のサイレントハピネスがいる良血。その期待通り、デビューから3戦全勝で阪神3歳牝馬S(現・阪神ジュベナイルフィリーズ)を制しました。このデビューから僅か28日後のGI制覇は、グレード制導入以降、リオンディーズと並び現在でも最速の記録です。

しかも、2戦目の赤松賞がおこなわれたのは、阪神3歳牝馬Sの1週間前。つまり連闘でのGI制覇で、この偉業を成し遂げたのも、グレード制導入以降では1989年の安田記念を制したバンブーメモリー以来2頭目。そして3頭目はというと、それからさらに19年後。2018年の安田記念を制したモズアスコットまで現われないほどの偉業でした。

そんな名牝スティンガーを管理したのは藤沢和雄調教師。藤沢師といえば「馬優先主義」で知られ、連闘でGI挑戦というのは意外な気もしますが、このときの出走に関しては最後まで迷っていたそう。ただ、当時の赤松賞はジャパンCデーの第6レース(12時45分発走。実際は5分遅れ)におこなわれており、レースは楽勝。なおかつ渋滞に巻き込まれず少ない負担でトレセンに帰厩できたため、出走を決断した結果、現在でも3頭しか達成していない偉業を成し遂げたのです。

さらに、スティンガーの当時は常識外れとされた挑戦は続き、クラシック第一弾の桜花賞には前哨戦を使わず直行。結果は12着と敗れたものの、後に、厩舎の後輩となるグランアレグリアや、ソダシ、リバティアイランドなど、現在では当たり前になりつつあるこのローテーションも、グレード制導入以降はスティンガーが初めてでした。

そして、秋も藤沢調教師の管理馬らしく天皇賞に参戦して4着と好走。しかも、コースレコードで勝利したスペシャルウィークから僅か0秒3差という素晴らしい内容で、このときの2、3着はステイゴールド、エアジハードという強豪牡馬。同じく強豪牡馬のセイウンスカイやメジロブライトには先着を果たしています。

また、GIに関しては阪神3歳牝馬Sの1勝に終わったものの(もちろんこれだけでも十分な実績です)、デビューから4年連続重賞を制したことも、スティンガーが評価されるポイント。とりわけ、古馬になってから京王杯スプリングCを連覇した際の相手は、グラスワンダーやキングヘイロー、ブラックホーク、アグネスデジタル、エイシンプレストン、海外のディクタットと、錚々たるメンバーを撃破しています。

こうしてスティンガーの現役時を振り返ると、当時は常識外れでも、現代では当たり前になっていることをし始めたパイオニア的存在。さらに、連闘でGI勝利という、現代でも成し得た馬がほとんどいない偉業を実際に成し遂げた、名牝中の名牝といえます。

そんなスティンガーのご冥福を、心よりお祈り申し上げます。

それでは予想に。

今回は、オールカマーの過去5年を深掘り調査。好走傾向から重視できそうな指標を探し出し、そこから軸馬を見つけます。

(1)前走着順
(2)前走斤量
(3)馬齢
(4)母父の系統
(5)生産牧場
(6)前走人気
(7)馬番
(8)性別
(9)馬主
(10)前走上がり
(11)生月

近年の傾向から重視できそうな指標は、なんと11項目。数が多すぎて、自分で自分の首を絞めているような感じもしますが……。しっかりと見ていきましょう。

まずは(1)。前走着順です。
近年のオールカマーは、前走8着以下が[0-1-0-19/20]と苦戦。対して、前走7着以内、かつ前走の馬体重が480kg以下か、海外のレースに出走した馬は[5-4-4-10/23]。勝率21.7%、複勝率56.5%。単勝回収率202%、複勝回収率150%。該当馬の半数以上が好走していました。

次は(2)。前走の斤量。
近年のオールカマーは、前走から斤量が増える馬は[1-1-0-17/19]。単複の回収率は10%台と厳しい結果に。
一方、前走と同じ斤量か今回減となる馬で、毛色が鹿毛か黒鹿毛。なおかつ、前走GI以外のレースか、海外のレースに出走した馬は[2-4-4-10/20]。勝率10.0%、複勝率50.0%。単勝回収率143%、複勝回収率163%。該当馬の半数が好走していました。

(3)は、馬齢です。
近年のオールカマーは、6歳以上が[0-0-1-23/24]と不振。一方、4歳馬は[3-3-2-6/14]。勝率21.4%、複勝率57.1%。単勝回収率187%、複勝回収率139%と、群を抜いています。

また、5歳馬も、前走4コーナーで4番手以下に位置していれば[2-2-1-8/13]。勝率15.4%、複勝率38.5%。単勝回収率156%、複勝回収率110%と、まずまずでした。

(4)は母父の系統。
母父を主要4系統に分けたとき、当レースで好走率が高いのは、ネイティヴダンサー系種牡馬、もしくはナスルーラ系種牡馬を母の父に持つ馬。そのうち、前走間隔が中5週から23週の馬は[2-2-3-6/13]。勝率15.4%、複勝率53.8%。単勝回収率106%、複勝回収率125%。文句なしの成績です。

(5)は、生産牧場について。
好走傾向で、毎週のように取り上げているノーザンファーム生産馬。当然のようにオールカマーでも好走率は高く、中でも、キャリア15戦以下の同場生産馬は[3-2-2-5/12]。勝率25.0%、複勝率58.3%。単勝回収率255%、複勝回収率140%と、素晴らしい成績。

また、コスモヴューファーム生産馬も[1-1-1-2/5]。勝率20.0%、複勝率60.0%。単勝回収率94%、複勝回収率212%。サンプルは少ないものの、こちらも素晴らしい成績でした。

(6)は、前走人気。
オールカマーは、前走9番人気以下の馬が[0-0-0-17/17]と、こちらも苦戦しています。一方、前走8番人気以内で、なおかつ前走偶数番を引き、さらに前走3枠から8枠を引いていた馬は[3-1-3-4/11]。勝率27.3%、複勝率63.6%。単勝回収率227%、複勝回収率177%。好走率は6割を超えていました。

折り返しの(7)は馬番です。
内枠有利の当レース。今回1、2番を引いた馬の成績を合算すると[2-4-1-3/10]。勝率20.0%、複勝率70.0%。単勝回収率242%、複勝回収率209%。凄まじい成績でした。

続いて(8)は性別について。
ご存知のとおり、近年のオールカマーは牝馬が強さを発揮しており[3-2-1-4/10]。勝率30.0%、複勝率60.0%。単勝回収率333%、複勝回収率195%。文句なしの成績です。

まだまだ続く(9)は馬主。
(5)とやや重なりますが、オールカマーは、いわゆるクラブ法人の所有馬が強いレース。一括りにしていいかどうかはさておき、キャロットファーム、シルクレーシング、サンデーレーシングの所有馬で、前走西開催(中京、京都、阪神、小倉)、もしくは海外のレースに出走した馬は[3-1-2-4/10]。勝率30.0%、複勝率60.0%。単勝回収率306%、複勝回収率132%と、抜群の成績。

また、(株)ウインの所有馬も[1-1-1-1/4]。単勝回収率117%、複勝回収率265%。サンプルは少ないものの、4頭中3頭が好走していました。

(10)は前走上がりです。
直線の短い中山競馬場でおこなわれるオールカマー。それでも、前走速い上がりを使えたかどうかは重要で、前走16頭以下のレースで2位以内の上がりをマークした馬は[2-3-0-4/9]。勝率22.2%、複勝率55.6%。単勝回収率317%、複勝回収率184%。該当馬の半数以上が好走していました。

そして、最後は(11)。生月について。
オールカマーは、どういうわけか2月生まれと5月生まれが良績を収めているレース。

まず、2月生まれは、今回奇数馬番を引くと[2-2-1-3/8]。勝率25.0%、複勝率62.5%。単勝回収率165%、複勝回収率170%と、超のつく好成績。

一方、5月生まれは他に条件をつけなくても[2-2-1-3/8]。勝率25.0%、複勝率62.5%。単勝回収率302%、複勝回収率218%。奇数馬番を引いた2月生まれと同等の成績です。

これら11の指標を踏まえ、印と買い目を下記のとおりとしました。

◎6  ジェラルディーナ
○13 ローシャムパーク
▲10 エヒト
☆1  ロングラン
△15 ウインマリリン
△4  マテンロウレオ
△2  タイトルホルダー
△7  ガイアフォース
△8  ゼッフィーロ
△3  アサマノイタズラ
△5  アラタ
△14 マリアエレーナ


【買い目】

・馬単マルチ 6=1、2、3、4、5、7、8、10、13、14、15 計22点
・ワイド 6→1、2、3、4、5、7、8、10、13、14、15 計11点
・3連複軸1頭ながし 6→1、4、10、13、15 計10点


11項目もあげたのに、本命候補はなんと5頭。内から、ロングラン、ジェラルディーナ、エヒト、ローシャムパーク、ウインマリリンが、4項目に該当しました。

非常に迷いますが、高齢馬や前走下位人気。さらに、前走から斤量が増える馬は好走率が低いため、これらを加味した結果、ジェラルディーナを本命とします。

昨年の覇者ジェラルディーナは、続くエリザベス女王杯も連勝。有馬記念でも3着に好走し、最優秀4歳以上牝馬のタイトルを獲得しました。

今シーズンは、ここまで3戦連続GI出走し、6、6、4着と結果は出ていないものの、初戦の大阪杯当時はスクミもあって大変だったとのこと。また、素晴らしいメンバーが揃った前走の宝塚記念も、差し追込み馬が上位を占める中、4コーナーを3番手で回りながら4着に粘った内容はさすがの一言。GIIでは明らかに実績上位で、父母ともに5歳でもGIを勝利しており、能力が衰えたとは思えません。
本当は、マツリダゴッホのように3連覇を成し遂げて欲しいくらいの気持ちですが、所有するサンデーレーシングの規定により、おそらくあと数戦で引退となるはず。彼女の勇姿を、しっかりと目に焼き付けたいと思います。

馬券は、ジェラルディーナからの馬単マルチとワイド。さらに、3項目以上該当の5頭を相手にした3連複軸1頭ながしを購入。配当のことだけを考えれば、応援するのはロングランですが、タイトルホルダーの復活やローシャムパークの重賞連勝なるかなど、非常に見所の多い一戦です。

それでは、日曜日も競馬を楽しみましょう。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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