【今週の注目重賞】
■阪神JF
12月10日（日）、阪神競馬場で第75回・阪神JF（2歳牝馬、GI、馬齢、芝1600m）が行なわれる。

今年の1番人気はボンドガール（牝2、美浦・手塚）が濃厚か。ダイワメジャー産駒で、共同通信杯に勝ったダノンベルーガの半妹。オーナーは“ウマ娘”の藤田晋氏だ。2着チェルヴィニアがのちにアルテミスSを制するなど、超ハイレベルと目されている6月の東京芝1600mの新馬を快勝。牡馬相手の2戦目・サウジアラビアRCも2着に好走した。3着のシュトラウスが次走・東京スポーツ杯2歳Sで優勝したことから、本馬も高いパフォーマンスを発揮していたことは明白。鞍上に英国の名手・T.マーカンド騎手を迎え、万全の態勢でGI奪取に臨む。

そのボンドガールにデビュー戦で3着に敗れたのがコラソンビート（牝2、美浦・加藤士）。2戦目の東京芝マイルの未勝利を勝つと、ダリア賞も連勝。勢いに乗って牡馬相手の京王杯2歳Sも優勝し、管理する加藤士厩舎と父スワーヴリチャードに重賞初勝利をプレゼントした。牝馬が京王杯2歳Sを制したのは1998年のウメノファイバー以来25年ぶりのこと。同馬はのちにオークス馬に輝いている。新馬戦の雪辱を晴れの大舞台で果たすことができるか。

良血という点ではサフィラ（牝2、栗東・池添）がメンバー随一。全兄のサリオスは朝日杯FSに優勝し、半姉のサラキアはエリザベス女王杯と有馬記念で連続2着。ほかにも4連勝中の半兄・エスコーラやローズS2着の半姉・サリエラが現役続行中で、“華麗なるきょうだい”の一員である。新馬戦は不利に泣いて3着に敗れるも次戦を圧勝し、アルテミスSでは2着に好走した。勝ったチェルヴィニアには0秒3の決定的な差をつけられたものの、同馬は出走回避。アルテミスSはもっとも相性のいいステップだけに、好ローテからの戴冠を目指す。

アスコリピチェーノ（牝2、美浦・黒岩）も支持を集めそうな一頭。ボンドガールと同じく父はダイワメジャー。同産駒はメジャーエンブレムとレシステンシアが優勝しており、阪神JFとひじょうに相性のいい種牡馬である。東京芝1400mの新馬戦で派手な差し切りを決めると、返す刀で新潟2歳Sも快勝し重賞ウイナーに。確かな末脚は魅力も、ここまでの対戦相手には恵まれた。また新潟2歳Sからの臨戦で馬券になったのは、近10年ではあのハープスターだけ。しかも同馬は2着に敗れているだけに、決して有利なローテとは言えない。

そのほかには、牡馬混合のリステッド・萩Sを制したルシフェル（牝2、栗東・斉藤崇）、アスター賞を5馬身差のレコードで圧勝したキャットファイト（牝2、美浦・上原博）、ファンタジーSを大穴で勝利したカルチャーデイ（牝2、栗東・四位）、コスモス賞2着からクローバー賞を制したコスモディナー（牝2、美浦・伊藤伸）、同厩の偉大な先輩・アパパネも輩出した赤松賞に勝ったステレンボッシュ（牝2、美浦・国枝）なども出走を予定している。

【そのほかの重賞】
■カペラS
12月10日（日）、中山競馬場では第16回・カペラS（3歳上、GIII、別定、ダ1200m）が行なわれる。主な出走予定馬は、ダート交流重賞を3勝し、カペラSは2年連続2着好走の古豪・リュウノユキナ（牡8、美浦・岩戸）、4連勝で同コースのOP特別・千葉Sを制したスズカコテキタイ（牡4、美浦・奥村武）、ポラリスSなどOP特別2勝、重賞でも好走多数の実力馬・オメガレインボー（牡7、栗東・安田翔）、アイビスSDを2勝し、ここはダート初挑戦・オールアットワンス（牝5、美浦・中舘）、昨年の盛岡・クラスターCを制したオーロラテソーロ（牡6、美浦・畠山）、同コースのながつきSを快勝、川崎のスパーキングレディーでは3着に走ったタガノクリステル（牝4、栗東・長谷川）など。

■中日新聞杯
12月9日（土）、中京競馬場では第59回・中日新聞杯（3歳上、GIII、ハンデ、芝2000m）が行なわれる。主な出走予定馬は、福島民報杯に勝ち、前走・福島記念では3着に好走したカレンルシェルブル（牡5、栗東・安田翔）、前走・オクトーバーSを逃げ切ったヤマニンサルバム（牡4、栗東・中村）、スプリングSで2着、ダービーでは6着に健闘したホウオウビスケッツ（牡3、美浦・奥村武）、2歳時にGI・ホープフルSを制している昨年の覇者・キラーアビリティ（牡4、栗東・斉藤崇）、函館記念勝ち馬・ハヤヤッコ（牡7、美浦・国枝）、チューリップ賞2着のピンハイ（牝4、栗東・田中克）など。

（Text:Hattori）