競馬サロン

調教ライター 西村武輝
136
2024/05/18 18:00
オークス2024 最終結論【調教】ステレンボッシュ2冠濃厚も……逆転候補はこの馬!【重賞深掘りPROJECT】

2024年4月「競馬をより深く楽しんでいただく」ための新たなPROJECTがスタート!
その名も「重賞深掘りPROJECT」。重賞のことなら「ここを見れば完璧!」と言っていただける『重賞コーナー』に育てていくことを目指します!
=新PROJECT発足のご挨拶=
当PROJECTプロモーター「ブッシー」からのご挨拶です。
【重賞深掘りプロジェクト】始動のご挨拶
https://uma-jin.net/new/salon/salon_detail/17517/0/109
「オークス」全頭追い切り診断動画はこちら!
【オークス 2024|調教診断】最注目馬「S評価」は“非桜花賞組”!そしてあの人気馬に死角あり…?
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今週、来週と3歳女王・王者を決めるクラシックレース2連戦。
今週は樫の女王を決める「オークス」ですね!
近年の傾向として誰しもが思い浮かぶのは、桜花賞からの2冠達成が目立つということでしょう。
アーモンドアイ、デアリングタクト、スターズオンアース、そして昨年のリバティアイランドと近6年のスパンで見ると2/3の確率で2冠馬が登場。
やはり全馬にとってほぼ未知な距離であり、まだ距離適性が固まっていない時期でもあることから、馬そのものの能力の高さがモノを言うのが前提としてありますよね。
プラス近年は調整技術が向上し、消長が激しいとされる牝馬の状態維持が以前よりうまく進んでいるという事情も。
いま触れた6年で逆に桜花賞馬がオークスを制さなかったケースを見ると、2019年桜花賞馬グランアレグシアはNHKマイルCに回り(4位入線→5着降着)、オークスにはそもそも不参戦。2着シゲルピンクダイヤが同年オークスにおける桜花賞最先着馬でしたが、繋靭帯炎明けから好走を2回続け、さすがに反動があったのか後方ままの12着でした。
2021年ソダシは桜花賞を制し無敗の5連勝でオークスへ。しかし2角あたりで外から被され窮屈になりそこからずっと力みっぱなし、これが響いて0秒6差8着に沈みました。
吉田隼騎手は距離を敗因に挙げていましたが、札幌記念を制しているわけですからマイルが限界ではなかったはずで、この時点での能力の突出度を考えるとそれだけを原因とするのはちょっと弱いかなと。揉まれたこと自体もそれまでの連勝中に何度かあったんですが、ことオークスに限ってはさらになんらかのトリガーがあったのか、それとも蓄積したストレスがオークスで臨界を迎えたのか。
なんにせよそのあと垣間見せる気性面の問題が、ここで一気に噴出してしまったということでしょう。マイルならそれでもなんとかなったかもしれませんが、未知の2400mではさすがにどうにもならず。
さて、過去5年上位入線馬の調教傾向を見ると馬券対象15頭のうち最終追いコースが7頭、坂路が8頭と拮抗。坂路8頭のうち6が単走で、やはり直前はストレスを掛けない方向性がいいようです。時計自体も2020年1着デアリングタクトが4F55秒0、昨年2着ハーパーが同56秒2と地味なぐらいでちょうどいい。
全体の調教強度を見ても15頭中12頭が「馬なり」で、勝ち馬5頭はすべて「馬なり」。
15頭中、最終追い「一杯」は2022年3着ナミュールだけ。1番人気を裏切った(10着)桜花賞からの立て直すべく、序盤はゆったり入り、終いにガツンと負荷を掛けるメリハリを意識したという内容でした。
あとはやはり、総合力が求められるクラシックディスタンスですがら坂路・コースを併用してきた組が12/15で圧倒。
以上を踏まえ、まずは「オークス」追い切り診断で【8点】【7点】と上位評価された馬を見ていきましょう。
■アドマイヤベル 【7】
助手騎乗 美浦ウッド単走 1週前、横山武騎手騎乗の併せ馬である程度速い時計を出しており、今週はソフト調整に徹した。いわゆる70-40ペースで時計に派手さはないものの、前向きさと落ち着きを同居させ、直線では弾力性に富んだフットワークから滑らかに伸びた。疲れは感じさせず、高いレベルで好調維持。
■クイーンズウォーク 【7】
中内田師騎乗 栗東坂路単走 先週CW併せ馬で速い時計を出しており、関東への輸送を控える今週は息を整える程度の内容に留まる。時計は平凡そのものだが、ある程度馬場が荒れた時間帯でもブレずに力強い踏み込みができていたのは好感。落ち着きも十分で、好気配と言える。
■コガネノソラ 【7】
助手騎乗 美浦ウッド併せ馬 古馬2勝クラスを1秒以上先に行かせて追走。巧みなコーナーワークで取り付いていき、直線半ばで抜け出すとそのまま勢いを失わず鋭く伸びて1馬身の先着とした。いかにも精神面で充実しているようだし、前走が接戦だった反動は感じられない。高いレベルで安定。
■スウィープフィート 【7】
助手騎乗 栗東坂路単走 大混雑した走路を前向きさにあふれた雰囲気で登坂。パワフルなフットワークで進み、ラストでは機敏に手前を替えるとさらにひと伸びして駆け抜けた。前進気勢が強そうなあたりが一抹の懸念も、体調面や気迫の面は申し分なし。好調。
■ステレンボッシュ 【7】
助手騎乗 美浦ウッド併せ馬 大きく先行させた2頭を追走する3頭併せ。先行2頭が道中からペースを上げたことで、差は大きく開いた状態でコーナーを迎えたが、ステレンボッシュは柔軟に対応しスルスルとギアを上げていく。ラストは1頭に併入、1頭にはわずかに遅れたが追走差とペースチェンジのことを考えればまったく問題ない。1週前の動きも圧巻だったし、万全の態勢。
■タガノエルピーダ 【7】
M.デムーロ騎乗騎乗 栗東CW併せ馬 折り合い重視のペースで3歳1勝馬に取り付いていく内容。直線半ばで抜け出しに掛かるが、そこで鞍上がセーブして相手を待ち、再加速して併入とした。鞍上の指示にピタッと従える操縦性の高さには好感が持てる。好気配。
■チェルヴィニア 【7】助手騎乗 美浦ウッド併せ馬 木村厩舎流、左右の間に割って入る3頭併せ。軽快な脚捌きでコーナーを通過し、2頭の間に割って入る際の気迫も上々。敢えてワンテンポ仕掛けを遅らせたが、いざ促されてからの伸びは鋭く楽々左右2頭と併入とした。1週前追いで遅れ入線に終わっていたが、この動きなら問題なし。持てる力をフルに出せそう。
■ミアネーロ 【8】
津村騎手騎乗 美浦ウッド併せ馬 古馬オープン・パライバトルマリンを追走し、直線入口で取り付いていく。早めに鋭く抜け出し、そこからも気持ちを維持して伸びる。仕掛けられた相手が盛り返しての併入だが、手応えの違いは歴然。外めを回り無理せずラスト1Fは10秒9(ゴール前仕掛け)をマークしている。前走時も動きの良さが目立っていたが、今回はもう1段階上か。絶好の仕上がり。
■ラヴァンダ 【7】
田中健騎手騎乗 栗東坂路併せ馬 古馬1勝クラスに取り付き併走。終始手応えで圧倒し、ブレのない集中した走りで登坂。最後は滑らかにギアを上げ、スパッと切れて1馬身半差の先着とした。加速ラップで締めくくれたあたりも好感。よく見えた前走時以上の状態かも。
▼「オークス」全頭追い切り評価はコチラ
https://uma-jin.net/new/salon/salon_detail/17945/0/112
さすがクラシックだけあって各馬の動き、良かったです。
まず断然の1番人気濃厚ステレンボッシュ。
最終追いは2頭を大きく先に行かせてこれを追走。その2頭へ国枝師から無線でペースアップの指示があったとのことで、差は事前想定以上にさらに大きく開いた状態でコーナーを迎えるも、ステレンボッシュは柔軟に対応しスルスルとギアを上げ最後はきっちり2頭にキャッチアップ。
1頭にはわずかに遅れましたが、もともとの追走差とペースチェンジのことを考えればまったく問題ありません。
それでいて全体時計は1週前よりちょっと緩いウッド5F66秒7(馬なり)。このあたりの絶妙なサジ加減はさすが名伯楽・国枝師ではないでしょうか。
前段で触れたように桜花賞時点で世代内での能力突出を証明できており、気性面や調整面にそこまで課題がなければまず2冠は濃厚。
調教は超ド派手でこそありませんでしたが、盤石、万全そのもの。馬なりをちゃんと貫けたうえに、最後に名伯楽が振りかけた“スパイス”も効いてきそう。
「名馬は普通であればいい」の言葉通り、堂々2冠達成と見て本命とします。
もし、万一の逆転があるとすれば……で対抗に調教採点【8点】のミアネーロ。
フラワーC時も【8点】採点で、それに応えてきっちり勝利を収めてくれた存在です。
桜花賞はパスし、フラワーC時と同様中8週の間隔を取ってオークスへ進んできます。2回連続同じ間隔で臨むことで、調整ルーティンをよりブラッシュアップしてきていることに好感。厩舎は異なりますが、中6週→中6週と等間隔ローテでNHKマイルCに臨み、10番人気⇒3着と激走したロジリオンの例が思い浮かぶところです。
実際に動きのシャープさはフラワーC時以上。最終追いではコースの外めを回りながらもウッド1F10秒台をマークしていました。
一戦ごと、そして稽古ひと追いごとの学習量が絶大なタイプのようで、人気を裏切った菜の花賞後にC.ルメール騎手が「まだベイビーだよ……」とボヤいた姿はもう感じられず、一気に大人びてきた雰囲気があります。その高いセンスを活かせる枠に入ったのも好材料。
ステレンボッシュを逆転するならこの馬でしょう。対抗とし、単複は一本被りのステレンボッシュではなくこちらを買います。
▲タガノエルピーダは牡馬相手の朝日杯FSで3着。チューリップ賞は4着でまさかの桜花賞進出ならずでしたが、忘れな草賞前からコース中心に調整法をガラッと切り替えオークス進出への賞金加算に成功しました。このあたり、斉藤崇師の思い切りが素晴らしい。そして中間の調整はM.デムーロ騎乗に全権委任。
最終追いは時計に派手さこそなくとも、これはむしろ好感。併せ馬相手との併走状態のなか息を乱さず、じっくり脚の出し入れを確認した職人気質が光る内容でした。タガノディアマンテ(万葉S勝ちなど)が上にいる血統背景ですし、この距離でこそかも。
チェルヴィニアはポテンシャルは本命と同等でしょう。ただし桜花賞大敗の反動を懸念してか立ち上げペースが少し遅れ、1週前追いの動きはモタモタ。最終追いでさすがの迫力は見せましたが、なんとか間に合わせた感は否めず、ここで勝ち負けまではどうか。いずれ大きいところがあっていいと思いますが押さえまで。
穴でパレハ。最終追いの動きはいかにも地味で採点【6点】ではありましたが、相手をジワッとねじ伏せた気持ちの強さに惹かれるものがありました。前走の暴走を踏まえてか、1週前、今週とキチンと馬の後ろで我慢させる調整内容に徹しているのもいい。切れずとも、混戦の中で二枚腰、三枚腰を発揮してくれそうなイメージが浮かびます。鞍上田辺騎手もこうなると不気味。
なお採点【7点】のうちスウィープフィート、クイーンズウォークは無印。前者は活気十分な反面、やはり気性面での危うさを感じさせる攻め内容が引っ掛かりましたね。そして巷間指摘されていることではありますが、今年すでに3走消化しているのもどうか。
後者は最終追いで泰然と動けていて、力強さもありました。折り合い上々で、坂路4F全体が地味なのはいい。しかしさすがにラスト1F13秒0は軽すぎる嫌いが。本番でしっかりギアを上げられるのか。クイーンC時も軽めでしたが1Fは12秒0としっかり伸ばせていました。上にグレナディアガーズがいる血統、クイーンCで下した組のその後の不振も気になるところです。
以下、最終結論です。どうぞご参考に!
<調教ライター・西村武輝「オークス」最終結論>
◎7 ステレンボッシュ
○1 ミアネーロ
▲17 タガノエルピーダ
△9 ラヴァンダ
△10 アドマイヤベル
△12 チェルヴィニア
△5 コガネノソラ
△4 パレハ
【単勝】1(1点)
【複勝】1(1点)
【馬単】7→1,17,9,10,12,5,4(7点)
【3連複/フォーメ】7,1=7,1,17=7,1,17,9,10,12,5,4(16点)
【3連単/フォーメ】7,1→7,1,17→7,1,17,9,10,12,5,4(24点)
<【重賞深掘りプロジェクト】 調教ライター 西村武輝>
競走馬の追い切り評価を専門として、ネットメディア中心に執筆を続けているフリーライター。UMAJINでは「競馬サロン」開設以前から毎週の重賞出走全頭のレポートを執筆、担当。またプロレス関連業界にも関わっており、週刊プロレスや書籍等への寄稿歴もある。
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<【重賞深掘りプロジェクト】 調教ライター 西村武輝>
競走馬の追い切り評価を専門として、ネットメディア中心に執筆を続けているフリーライター。UMAJINでは「競馬サロン」開設以前から毎週の重賞出走全頭のレポートを執筆、担当。またプロレス関連業界にも関わっており、週刊プロレスや書籍等への寄稿歴もある。
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=重賞深掘りPROJECT関連動画=
【オークス 2024|血統診断】2400mでさらに輝く!本格派血統が堂々の主役だ!
【2024年オークスをデータで的中!】ステレンボッシュの相手はスウィープフィートとライトバックのどちらだ!? 東京芝2400m大歓迎の爆穴とヤバそうな人気馬とは?
【オークス 2024|馬体診断】デキ『絶好』馬を『穴』指名! 非桜花賞組ならこの馬! 馬体アナリストが導き出した馬体注目馬とは!?
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その名も「重賞深掘りPROJECT」。重賞のことなら「ここを見れば完璧!」と言っていただける『重賞コーナー』に育てていくことを目指します!
=新PROJECT発足のご挨拶=
当PROJECTプロモーター「ブッシー」からのご挨拶です。
【重賞深掘りプロジェクト】始動のご挨拶
https://uma-jin.net/new/salon/salon_detail/17517/0/109
「オークス」全頭追い切り診断動画はこちら!
【オークス 2024|調教診断】最注目馬「S評価」は“非桜花賞組”!そしてあの人気馬に死角あり…?
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今週、来週と3歳女王・王者を決めるクラシックレース2連戦。
今週は樫の女王を決める「オークス」ですね!
近年の傾向として誰しもが思い浮かぶのは、桜花賞からの2冠達成が目立つということでしょう。
アーモンドアイ、デアリングタクト、スターズオンアース、そして昨年のリバティアイランドと近6年のスパンで見ると2/3の確率で2冠馬が登場。
やはり全馬にとってほぼ未知な距離であり、まだ距離適性が固まっていない時期でもあることから、馬そのものの能力の高さがモノを言うのが前提としてありますよね。
プラス近年は調整技術が向上し、消長が激しいとされる牝馬の状態維持が以前よりうまく進んでいるという事情も。
いま触れた6年で逆に桜花賞馬がオークスを制さなかったケースを見ると、2019年桜花賞馬グランアレグシアはNHKマイルCに回り(4位入線→5着降着)、オークスにはそもそも不参戦。2着シゲルピンクダイヤが同年オークスにおける桜花賞最先着馬でしたが、繋靭帯炎明けから好走を2回続け、さすがに反動があったのか後方ままの12着でした。
2021年ソダシは桜花賞を制し無敗の5連勝でオークスへ。しかし2角あたりで外から被され窮屈になりそこからずっと力みっぱなし、これが響いて0秒6差8着に沈みました。
吉田隼騎手は距離を敗因に挙げていましたが、札幌記念を制しているわけですからマイルが限界ではなかったはずで、この時点での能力の突出度を考えるとそれだけを原因とするのはちょっと弱いかなと。揉まれたこと自体もそれまでの連勝中に何度かあったんですが、ことオークスに限ってはさらになんらかのトリガーがあったのか、それとも蓄積したストレスがオークスで臨界を迎えたのか。
なんにせよそのあと垣間見せる気性面の問題が、ここで一気に噴出してしまったということでしょう。マイルならそれでもなんとかなったかもしれませんが、未知の2400mではさすがにどうにもならず。
さて、過去5年上位入線馬の調教傾向を見ると馬券対象15頭のうち最終追いコースが7頭、坂路が8頭と拮抗。坂路8頭のうち6が単走で、やはり直前はストレスを掛けない方向性がいいようです。時計自体も2020年1着デアリングタクトが4F55秒0、昨年2着ハーパーが同56秒2と地味なぐらいでちょうどいい。
全体の調教強度を見ても15頭中12頭が「馬なり」で、勝ち馬5頭はすべて「馬なり」。
15頭中、最終追い「一杯」は2022年3着ナミュールだけ。1番人気を裏切った(10着)桜花賞からの立て直すべく、序盤はゆったり入り、終いにガツンと負荷を掛けるメリハリを意識したという内容でした。
あとはやはり、総合力が求められるクラシックディスタンスですがら坂路・コースを併用してきた組が12/15で圧倒。
以上を踏まえ、まずは「オークス」追い切り診断で【8点】【7点】と上位評価された馬を見ていきましょう。
■アドマイヤベル 【7】
助手騎乗 美浦ウッド単走 1週前、横山武騎手騎乗の併せ馬である程度速い時計を出しており、今週はソフト調整に徹した。いわゆる70-40ペースで時計に派手さはないものの、前向きさと落ち着きを同居させ、直線では弾力性に富んだフットワークから滑らかに伸びた。疲れは感じさせず、高いレベルで好調維持。
■クイーンズウォーク 【7】
中内田師騎乗 栗東坂路単走 先週CW併せ馬で速い時計を出しており、関東への輸送を控える今週は息を整える程度の内容に留まる。時計は平凡そのものだが、ある程度馬場が荒れた時間帯でもブレずに力強い踏み込みができていたのは好感。落ち着きも十分で、好気配と言える。
■コガネノソラ 【7】
助手騎乗 美浦ウッド併せ馬 古馬2勝クラスを1秒以上先に行かせて追走。巧みなコーナーワークで取り付いていき、直線半ばで抜け出すとそのまま勢いを失わず鋭く伸びて1馬身の先着とした。いかにも精神面で充実しているようだし、前走が接戦だった反動は感じられない。高いレベルで安定。
■スウィープフィート 【7】
助手騎乗 栗東坂路単走 大混雑した走路を前向きさにあふれた雰囲気で登坂。パワフルなフットワークで進み、ラストでは機敏に手前を替えるとさらにひと伸びして駆け抜けた。前進気勢が強そうなあたりが一抹の懸念も、体調面や気迫の面は申し分なし。好調。
■ステレンボッシュ 【7】
助手騎乗 美浦ウッド併せ馬 大きく先行させた2頭を追走する3頭併せ。先行2頭が道中からペースを上げたことで、差は大きく開いた状態でコーナーを迎えたが、ステレンボッシュは柔軟に対応しスルスルとギアを上げていく。ラストは1頭に併入、1頭にはわずかに遅れたが追走差とペースチェンジのことを考えればまったく問題ない。1週前の動きも圧巻だったし、万全の態勢。
■タガノエルピーダ 【7】
M.デムーロ騎乗騎乗 栗東CW併せ馬 折り合い重視のペースで3歳1勝馬に取り付いていく内容。直線半ばで抜け出しに掛かるが、そこで鞍上がセーブして相手を待ち、再加速して併入とした。鞍上の指示にピタッと従える操縦性の高さには好感が持てる。好気配。
■チェルヴィニア 【7】助手騎乗 美浦ウッド併せ馬 木村厩舎流、左右の間に割って入る3頭併せ。軽快な脚捌きでコーナーを通過し、2頭の間に割って入る際の気迫も上々。敢えてワンテンポ仕掛けを遅らせたが、いざ促されてからの伸びは鋭く楽々左右2頭と併入とした。1週前追いで遅れ入線に終わっていたが、この動きなら問題なし。持てる力をフルに出せそう。
■ミアネーロ 【8】
津村騎手騎乗 美浦ウッド併せ馬 古馬オープン・パライバトルマリンを追走し、直線入口で取り付いていく。早めに鋭く抜け出し、そこからも気持ちを維持して伸びる。仕掛けられた相手が盛り返しての併入だが、手応えの違いは歴然。外めを回り無理せずラスト1Fは10秒9(ゴール前仕掛け)をマークしている。前走時も動きの良さが目立っていたが、今回はもう1段階上か。絶好の仕上がり。
■ラヴァンダ 【7】
田中健騎手騎乗 栗東坂路併せ馬 古馬1勝クラスに取り付き併走。終始手応えで圧倒し、ブレのない集中した走りで登坂。最後は滑らかにギアを上げ、スパッと切れて1馬身半差の先着とした。加速ラップで締めくくれたあたりも好感。よく見えた前走時以上の状態かも。
▼「オークス」全頭追い切り評価はコチラ
https://uma-jin.net/new/salon/salon_detail/17945/0/112
さすがクラシックだけあって各馬の動き、良かったです。
まず断然の1番人気濃厚ステレンボッシュ。
最終追いは2頭を大きく先に行かせてこれを追走。その2頭へ国枝師から無線でペースアップの指示があったとのことで、差は事前想定以上にさらに大きく開いた状態でコーナーを迎えるも、ステレンボッシュは柔軟に対応しスルスルとギアを上げ最後はきっちり2頭にキャッチアップ。
1頭にはわずかに遅れましたが、もともとの追走差とペースチェンジのことを考えればまったく問題ありません。
それでいて全体時計は1週前よりちょっと緩いウッド5F66秒7(馬なり)。このあたりの絶妙なサジ加減はさすが名伯楽・国枝師ではないでしょうか。
前段で触れたように桜花賞時点で世代内での能力突出を証明できており、気性面や調整面にそこまで課題がなければまず2冠は濃厚。
調教は超ド派手でこそありませんでしたが、盤石、万全そのもの。馬なりをちゃんと貫けたうえに、最後に名伯楽が振りかけた“スパイス”も効いてきそう。
「名馬は普通であればいい」の言葉通り、堂々2冠達成と見て本命とします。
もし、万一の逆転があるとすれば……で対抗に調教採点【8点】のミアネーロ。
フラワーC時も【8点】採点で、それに応えてきっちり勝利を収めてくれた存在です。
桜花賞はパスし、フラワーC時と同様中8週の間隔を取ってオークスへ進んできます。2回連続同じ間隔で臨むことで、調整ルーティンをよりブラッシュアップしてきていることに好感。厩舎は異なりますが、中6週→中6週と等間隔ローテでNHKマイルCに臨み、10番人気⇒3着と激走したロジリオンの例が思い浮かぶところです。
実際に動きのシャープさはフラワーC時以上。最終追いではコースの外めを回りながらもウッド1F10秒台をマークしていました。
一戦ごと、そして稽古ひと追いごとの学習量が絶大なタイプのようで、人気を裏切った菜の花賞後にC.ルメール騎手が「まだベイビーだよ……」とボヤいた姿はもう感じられず、一気に大人びてきた雰囲気があります。その高いセンスを活かせる枠に入ったのも好材料。
ステレンボッシュを逆転するならこの馬でしょう。対抗とし、単複は一本被りのステレンボッシュではなくこちらを買います。
▲タガノエルピーダは牡馬相手の朝日杯FSで3着。チューリップ賞は4着でまさかの桜花賞進出ならずでしたが、忘れな草賞前からコース中心に調整法をガラッと切り替えオークス進出への賞金加算に成功しました。このあたり、斉藤崇師の思い切りが素晴らしい。そして中間の調整はM.デムーロ騎乗に全権委任。
最終追いは時計に派手さこそなくとも、これはむしろ好感。併せ馬相手との併走状態のなか息を乱さず、じっくり脚の出し入れを確認した職人気質が光る内容でした。タガノディアマンテ(万葉S勝ちなど)が上にいる血統背景ですし、この距離でこそかも。
チェルヴィニアはポテンシャルは本命と同等でしょう。ただし桜花賞大敗の反動を懸念してか立ち上げペースが少し遅れ、1週前追いの動きはモタモタ。最終追いでさすがの迫力は見せましたが、なんとか間に合わせた感は否めず、ここで勝ち負けまではどうか。いずれ大きいところがあっていいと思いますが押さえまで。
穴でパレハ。最終追いの動きはいかにも地味で採点【6点】ではありましたが、相手をジワッとねじ伏せた気持ちの強さに惹かれるものがありました。前走の暴走を踏まえてか、1週前、今週とキチンと馬の後ろで我慢させる調整内容に徹しているのもいい。切れずとも、混戦の中で二枚腰、三枚腰を発揮してくれそうなイメージが浮かびます。鞍上田辺騎手もこうなると不気味。
なお採点【7点】のうちスウィープフィート、クイーンズウォークは無印。前者は活気十分な反面、やはり気性面での危うさを感じさせる攻め内容が引っ掛かりましたね。そして巷間指摘されていることではありますが、今年すでに3走消化しているのもどうか。
後者は最終追いで泰然と動けていて、力強さもありました。折り合い上々で、坂路4F全体が地味なのはいい。しかしさすがにラスト1F13秒0は軽すぎる嫌いが。本番でしっかりギアを上げられるのか。クイーンC時も軽めでしたが1Fは12秒0としっかり伸ばせていました。上にグレナディアガーズがいる血統、クイーンCで下した組のその後の不振も気になるところです。
以下、最終結論です。どうぞご参考に!
<調教ライター・西村武輝「オークス」最終結論>
◎7 ステレンボッシュ
○1 ミアネーロ
▲17 タガノエルピーダ
△9 ラヴァンダ
△10 アドマイヤベル
△12 チェルヴィニア
△5 コガネノソラ
△4 パレハ
【単勝】1(1点)
【複勝】1(1点)
【馬単】7→1,17,9,10,12,5,4(7点)
【3連複/フォーメ】7,1=7,1,17=7,1,17,9,10,12,5,4(16点)
【3連単/フォーメ】7,1→7,1,17→7,1,17,9,10,12,5,4(24点)
<【重賞深掘りプロジェクト】 調教ライター 西村武輝>
競走馬の追い切り評価を専門として、ネットメディア中心に執筆を続けているフリーライター。UMAJINでは「競馬サロン」開設以前から毎週の重賞出走全頭のレポートを執筆、担当。またプロレス関連業界にも関わっており、週刊プロレスや書籍等への寄稿歴もある。
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<【重賞深掘りプロジェクト】 調教ライター 西村武輝>
競走馬の追い切り評価を専門として、ネットメディア中心に執筆を続けているフリーライター。UMAJINでは「競馬サロン」開設以前から毎週の重賞出走全頭のレポートを執筆、担当。またプロレス関連業界にも関わっており、週刊プロレスや書籍等への寄稿歴もある。
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【オークス 2024|血統診断】2400mでさらに輝く!本格派血統が堂々の主役だ!
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