戸崎圭太とシルクの「お祭り」となった先週の競馬。

「さすがに3日連続はどうだろう？」と躊躇してしまう方も多かったのではないだろうか。競馬において「3」という数字は不思議な力を持つ。3連覇、3連勝、叩き3戦目……競馬と浅からぬ縁がある、本当に不思議な数字だ。

プリモシーン、アーモンドアイはともにデビュー「3」戦目での重賞制覇。中山金杯を制したセダブリランテスもデビュー3戦目で初重賞制覇を飾った馬だ。

数字といえば、競馬で切り離せない関係性にあるのが“オッズ”。

先週の4重賞で勝利を逃した1番人気馬の2頭はいずれも単勝オッズ3倍台。一般的に単勝1番人気の馬が3倍を超えるオッズで推移している場合、多くのファンは“危険な人気馬”として判断する。例えば日本ダービーは1番人気馬の連対率が高いことで知られているが、過去5年で連対を外した1番人気馬は単勝3倍台。オッズが波乱を見極めるためのチェックツールとして機能していることが窺える。

それを踏まえ、今回お伝えしたいのは“単勝1倍台の人気馬が飛ぶパターン”の分析だ。

GIに代表されるビッグレースでは凡走シーンがパッと浮かぶかもしれないが、午前中のレースなど、条件戦まで視野を広げると大まかな“凡走傾向”は肌感のレベルで掴めてくる。ここからは例を挙げつつ凡走パターンを説明していきたい。

【1】馬場替わり
当たり前の話だが、競馬はどんなときもフラットな天候・馬場コンディションで施行されるものではない。気まぐれな自然現象がパフォーマンスに与える影響は大きく、それが競馬の醍醐味のひとつと言えるだろう。

昨秋を振り返ると、毎週のように雨が降り馬場状態は重-不良レベルまで悪化。生涯を通じてこのレベルの馬場が初体験だった馬もチラホラ見られたが、スーブレットという馬もその1頭だった。単勝1.3倍と圧倒的な支持を受けながら良→不良馬場替わりで6着……私はこの馬を未勝利は楽に勝ち上がれるポテンシャルを持つと判断しているが、やはり特殊な馬場が堪えたのだろう。

【2】枠替わり
いまの中山芝は外枠の差し馬が圧倒的有利。今年はそれほどでもないが、1月京都芝も基本的には前に行った馬が止まらない馬場状態になりやすい。こうしたトラックバイアスを受けることで、思わぬ凡走を喫してしまうケースは往々にしてあることだ。

その典型と言えるのが正月競馬初日の中山7Rに出走したサトノキングダムだろう。直線でまともに追えない不完全燃焼のレースに終始したが、そもそも内枠でなければあれほど極端な不利を受けることはなかったはず。枠順のいたずらが自身のパフォーマンスを阻害する要因となったわけだ。

【3】間隔の詰まったローテーション
条件戦に目を向けると、近走良い着順で来ている馬が間隔を詰めて使われ、「間隔を詰めて使われるのは調子の良い証拠」と判断されることで抜けた支持を集めることがある。私は、その状況にこそ落とし穴が潜んでいると思う。

ここで注視すべきは年末に中2週以内で参戦する馬。「終わり良ければすべて良し」ではないが、勝って有終の美を……と目論む考えはあって当然だろう。それまで間隔をあけて使われてきた馬が突如間隔を詰めたとき、私は無条件で“買い”とは思わない。目に見えない疲れがまったくないとは限らないからだ。

【4】同コース3戦目
人気を形成する大きな要因として挙げられるのが前走着順。特に同じ条件での好走ともなれば、その信頼度が増すのは当然の摂理だ。「走り慣れたこの条件なら堅い」と購入意欲を掻き立てられる心理も働くだろう。

しかし、このような「死角なし」と思われた馬がチョイ負けを喫するのが競馬の不思議なところ。競走馬のタイプにもよるが、同じ条件を何度も使われることで“悪い意味での慣れ”が発生する可能性は否定できない。昨年11月の高雄特別で1.6倍に支持されながら4着に敗れたショパンは、当時のレースが秋の京都芝外回り3戦目。ここでも“3”という数字が持つ不思議な力を感じる。

最後に補足すると、単勝1倍台の人気馬が上記要因と思われる負け方をした場合、その次走が最大の狙い目と捉えている。天皇賞（秋）のキタサンブラック、宝塚記念のミッキークイーン、NHKマイルCのメジャーエンブレム……いずれも馬券圏外から一変を見せた。その馬が危険であるサインをせっかく見つけたのだから、その対極にある“狙い時のサイン”を使わない手はないだろう。

ただ単に危険な人気馬を見つけるのではなく、その馬を次走に狙えるリストとしてストックする。その繰り返しが自身の競馬予想スキルの向上を促すはずだ。

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