【中山11R　ダービー卿CT】

抜けるような青い空、白い雲。春の気配を感じる外はポカポカ陽気で気持ちが良い。

私の自宅前にある中学校から「さあこーい！」と野球部のかけ声が響く。隣接した幼稚園は子供を迎えにきた親御さんとその子供が仲良く手をつなぎ帰路に着く。家族の顔を一刻も早く見ようと、一家の大黒柱は満員電車に揺られながら我が家を目指す。

……こんな日常があるはずだった。

外出自粛を余儀なくされたことで、自宅がオフィスに。休校の学校は人っ子ひとりいない状態。幼稚園は子供の引き渡しを入り口で行い、中には入れない有様だ。

スポーツ・ライブイベントの中止。
2カ月以上売り切れが続くマスク。
閑古鳥が鳴く飲食店。

これに志村けんさんの死去が重なり、気が滅入ってしまいそうだ。会ったことは一度もないが、身内が亡くなってしまったような不思議な感覚……全国民のDNAにその笑いが浸透していたのだろう。私は両親の影響で志村けんさんを観ていた世代。本当に悔しい。

話を続けよう。

いま現在私も例に漏れず自宅をオフィスとしているわけだが、外と家とではお金の使い方が180度変わる。

楽な姿勢で作業できる椅子がほしいなぁ……。
ジムに行けないし、自宅トレ用グッズを買うか……。
Amazon Prime以外にNetflixにも加入しようかなぁ……。
消費量増えたしサランラップとジップロック買い足しとくか……。

「風が吹けば桶屋が儲かる」とはよく言ったもので、いまの状況を絶好のビジネスチャンスと捉える業種もあるはず。そうなれば最終的に回りまわって景気は回復傾向に向かうのでは、と私は思っている。むろん、1.2年スパンではなく10年以上の長期的視野での話だが……。

さて、幸運なことにも競馬は今週も引き続き開催を迎える運びとなった。

今なお絶大な影響力を持つスポークスマン・武豊をはじめ競馬関係者もメッセージを続々と発信。そのなかでも私が考えさせられたのは、福永祐一が発した言葉だ。

「普段、生活する上で競馬は必要じゃない」

【不要不急】が叫ばれる情勢に真っ向勝負を挑むかのようなこの発言。1カ月先どころか1週間先の見通しもつかない状況にあって、いの一番に削られる支出はエンタメコンテンツだろう。みんなそれを理解しているが、言葉に出すことで真実味を帯びる危険性に触れたくないもの。よくも悪くもウソがつけないバカ正直な人間だ。これだから私は福永祐一を嫌いになれない。

私も覚悟を決めよう。

競馬が「コロナ疲れ」のストレス発散や気晴らしになるなら、私の立場でできることをできる限りお伝えする。その上で一刻も早い収束のためにすべきことを実践する。私が睡眠食事以外でもっとも人生の時間を費やしたのが競馬。この楽しみだけは奪われたくないし、絶対に奪わせない。

決意表明を示したところで、ダービー卿CTの予想見解に移る。

このレースが姿を変えたのは2015年。前年に路盤改修を行った中山芝は外回りコースを中心に差し馬に救済措置を与えた。

モーリス。
マジックタイム。
ヒーズインラブ。
プリモシーン。

連対馬に共通するのは「東京芝1600mでの好走歴」。これまでリンクすることが少なかったふたつのコースが同盟を結んだのだ。非常に興味深い傾向の変化と言えよう。

さらに注目すべき点が、Bコース替わり。

気温が上がり、芝が生長するタイミングで痛んだ馬場が保護される。それによってもたらされるのは高速馬場だ。以下に過去5年の勝ちタイム推移を並べる。

【1分32秒2→1分32秒8→1分34秒7→1分32秒2→1分31秒7】

稍重で施行された3年前を除き、決着タイムは1分31-32秒台。勝ち馬は東京マイル並みの走破時計で駆け抜けた。トーラスジェミニやボンセルヴィーソ、マイスタイルと先行馬が揃う今年のメンバー構成。求められる時計はおのずと決まってくる。

それを踏まえ、本命の印を託すのはケイアイノーテック。

NHKマイルCを最後に馬券圏内から遠ざかる馬だが、その間も良馬場芝1600mでは勝ち馬と0秒6以内を続けている。近2走も上がり3F最速をマークしており、展開ひとつで突き抜けるだけの可能性は十分だ。

「先入観を持ち過ぎて後ろの位置になってしまいました」

鞍上津村明秀が得た2度目のチャンス。前走の反省を糧にするなら最後方待機の選択肢は外されることだろう。差しが決まる想定とはいえ、さすがに最後方からでは届かない。私が望むのは中団追走からマクリ差したニュージーランドT時のレース運び。

アーモンドアイ。
ダノンプレミアム。
インディチャンプ。

おじけづいてしまいそうな強豪相手に自身の当該距離持ちタイムを更新し続けた昨年。その経験が活きるのは今だ。ケイアイノーテックの本命に迷いはない。

相手本線に据えるのはプリモシーン。

不振が続いた昨秋から一変をはたした前走東京新聞杯。3走前は馬場、2走前は良績に乏しい関西圏が影響したと捉えてよさそうだ。中山芝1600mは重賞勝利実績に加え、昨年このレースでも2着。大崩れは考えにくい。

カツジも侮れない1頭。

約1年ぶりのレースとなった前走は勝ち馬と0秒6差。数字だけを見ると一変を望むのは酷な印象も、1000m通過57秒4の淀みない流れを大外から早め進出の内容は見どころ十分だった。一昨年のニュージーランドT、マイルCSをはじめ好走は斤量56キロ以下に集中。57→56キロの斤量減で挑む今年は軽く扱えない1頭だ。

さらにはジャンダルム。

馬番ひと桁番時での成績【3-0-2-2】に対し、フタ桁番では【0-1-0-6】。ロスなく運べる枠を引くかどうかで明暗が分かれる馬だ。すでにコース適性は証明済み、内枠を引き当てたことで3連複フォーメーション2列目への抜擢が決まった。

最後にクルーガー。

左回りでの成績【0-0-1-5】に対し、右回りでは【5-3-2-5】。適性の所在がどこにあるかは明らかだ。豪州GIでは33連勝を飾ったウィンクス相手に斤量59キロで2着。見限るには早計だろう。

【中山11R　ダービー卿CT予想の印】
◎11 ケイアイノーテック
〇７ プリモシーン
▲15 カツジ
☆３ ジャンダルム
注４ クルーガー
△10 ムーンクエイク
△９ ブラックムーン
△14 ドーヴァー

【単勝】11(1点)
【馬連】11-7,15,3,4(4点)
【3連複/フォーメ】11-7,15,3,4-7,15,3,4,10,9,14(18点)
【3連単/フォーメ】11-7,15,3,4-7,15,3,4,10,9,14(24点)


次に、自信の一鞍。

【自信の一鞍　阪神11R　コーラルS】

昇級初戦を迎えるレッドルゼルだが、前走はノーステッキで楽勝といまだ底を見せず。昨年同時期に3馬身差快勝歴のある阪神ダート1400mならクラスの壁を難なく突破するだろう。

相手本線にはニホンピロタイドを抜擢。この馬で注目すべきは稍重-不良馬場成績【0-1-0-6】に対し、良馬場成績【3-1-1-1】とパサパサのダートでこそのタイプだということ。こちらも昨年同時期に阪神ダートで複数好走歴があり、春の気候もまた魅力だ。

【阪神11R　コーラルS】
◎５ レッドルゼル
〇15 ニホンピロタイド
▲11 サクセスエナジー
☆６ デアフルーグ
注12 スマートオーディン
△16 フュージョンロック
△13 バティスティーニ
△８ テーオーヘリオス
△３ ナムラミラクル

【馬連】5-15,11,6,12(4点)
【3連複/フォーメ】5-15,11,6,12-15,11,6,12,16,13,8,3(22点)
【3連単/フォーメ】5-15,11,6,12-15,11,6,12,16,13,8,3(28点)


最後に太鼓判レース。

【太鼓判　阪神12R　4歳上2勝クラス】

ダート路線に転向後、安定した成績を残しているパンコミード。前走は好走歴のない関東圏かつ休み明け→間隔を詰めたローテーションも克服してみせた。ひと息入れられ、2走前に制した阪神ダート1800mに照準を絞ったここは勝ち負け濃厚だ。

【阪神12R　4歳上2勝クラス】
◎２ パンコミード
〇９ エイシンヨッシー
▲３ シェパードボーイ
☆12 グーテンターク
△４ ストロングライン
△５ マイネルブロッケン
△10 スズカフロンティア

【馬連】2-9,3,12(3点)
【3連複/フォーメ】2-9,3,12-9,3,12,4,5,10(12点)
【3連単/フォーメ】2-9,3,12-9,3,12,4,5,10(15点)


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アカウント⇒田原基成@競馬ストーリーテラー

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