気温も一気に上昇し、場所によっては猛暑日も記録された今週。競馬も、6週連続GI開催の折り返しを過ぎ、年間で最も熱く、最も盛り上がる2週間に突入します。

今週末のメインレースは、なんといっても牝馬クラシック第2戦のオークス。このコラムでは20日京都の平安Sを予想しますが、まずはいつもどおり、先週の振り返りを。京王杯スプリングCを取り上げます。

勝ったのはレッドモンレーヴ。ダービー卿チャレンジT7着から巻き返し、重賞初制覇です。

レースは、1400ｍ戦に初めて出走したベレヌスが逃げ、ヴィクティファルスと、これを最後に豪州へ移籍するラウダシオンが2番手につける展開。

上位人気馬では、ダノンスコーピオンとゾンニッヒが中団につけ、スタートでややダッシュがつかなかったレッドモンレーヴは、後ろから6番手に位置していました。

前半600ｍ通過は34秒9と、短距離戦にしてはかなり遅い流れ。先頭から最後方のカルリーノまでは、およそ15馬身と縦長の隊列になりましたが、4コーナー手前までペースは上がらず、そのまま直線を迎えます。

こうなると、直線は瞬発力勝負。まず、ラウダシオンが楽な手応えで先頭に並びかけ、2年前の当レース以来、久々の勝利なるかと思われました。しかし、残り200ｍでダディーズビビッドとゾンニッヒがこれに並びかけると、さらに大外から末脚を伸ばしたレッドモンレーヴがこれらをまとめて差し切り、後続に1/2馬身差をつけてゴールイン。

しぶとく伸びたウインマーベルが2着を確保し、クビ差3着にダディーズビビッドが入りましたが、12着トゥラヴェスーラまでの10頭もすべて着差は「クビ」。かなり珍しい結果となりました。

勝ったレッドモンレーヴは4歳馬。オープン入り初戦ながら、1番人気に推された前走ダービー卿チャレンジTは大きく出遅れ7着と敗れましたが、巻き返しに成功しました。しかも、前有利な展開の中、中団よりも後ろから差し切った点は評価できます。

さて、京王杯スプリングCといえば、昨年引退した藤沢和雄元調教師が得意としたレース。なんと8勝もしています。

ご存知のとおり、レッドモンレーヴも藤沢和雄厩舎からの転厩馬。現在、同馬を管理する蛯名正義調教師はこれが重賞初勝利で、藤沢師の下で技術調教師時代を過ごしました。そして、騎手としてのGI初制覇もまた、藤沢師が管理するバブルガムフェローの天皇賞（秋）でしたね。人と人との繋がり。縁というものの大切さを感じる勝利です。

また、レッドモンレーヴといえば、昨年、NHK BS1で放送された「幸せな人間が幸せな馬をつくる　調教師藤沢和雄　最後の400日」の番組内で、高い能力を秘めていながら、気性難の問題児として紹介されていた馬。

ただ、藤沢調教師にとって最後の勝利をもたらしたのは同馬であり、師の顕彰者選定記念レースとして10月におこなわれたレジェンドトレーナーC（2勝クラス）を勝利したのも、この馬です。

血統をみると、父は現在リーディングを快走するロードカナロアで、母ラストグルーヴは名牝エアグルーヴの10番仔。さらに、その父はディープインパクトという、とてつもない良血。昨年の当レース2着スカイグルーヴは3代母がエアグルーヴですから、同じファミリーの出身です。

そのレッドモンレーヴ。今回はスタートを五分に出たものの、ダッシュがつかず後方からの競馬。順調にいけば次走は安田記念だそうで、やはりスタートは心配ですが、先行馬にとって有利な流れを差して勝ち、なおかつ次走が距離延長というのは、決して悪い材料ではありません。

一方、私の本命ウインマーベルは2着。一応、馬券は的中しましたが、2番人気のレッドモンレーヴが勝ち、3着ダディーズビビッドが無印だったこともあってほとんど儲からず……。むしろ、この僅かなプラスも、直後の12レースであっさり無くなってしまいました。

ウインマーベル自身は、久々の1400ｍ戦だったこともあってか、序盤は少しいきたがりました。ただ、直線で後退すると思われたところからジリジリと末脚を伸ばし、2着を確保。4歳ながらキャリア豊富で、なおかつ渋い活躍をしており、応援したくなる馬です。

対して、勝ち馬と同じロードカナロア産駒で、1番人気に推されながら11着と敗れたダノンスコーピオン。これで、3戦連続掲示板を外してしまいましたが、騎乗した川田騎手によると「着順以上に内容良く走れている」とのこと。次走は、さすがにそこまで人気しなさそうで、かといって本命にするのも勇気はいりますが、もう一度信じてみていいのかもしれません。

それでは、予想に。

今回は、6月末におこなわれる帝王賞の前哨戦的な役割を担うレース、平安Sの過去5年を深掘り調査。好走傾向から重視できそうな指標を探し出し、そこから予想を組み立てます。

（1）乗り替わりの有無
（2）馬齢
（3）前走の馬場状態
（4）前走頭数
（5）種牡馬の系統
（6）母父の系統
（7）前走着差
（8）前走からの間隔

近年の傾向から重視できそうな指標は、上記8項目。その中で、まずは（1）。乗り替わりの有無別成績です。
継続騎乗組が、乗り替わり組をすべての指標で上回っている平安S。その中でも、前走重賞かオープンで5番人気以内だった馬は［2-4-4-10/20］。勝率10.0％、複勝率50.0％。単勝回収率106％、複勝回収率175％と、素晴らしい成績でした。

次は（2）。馬齢について。
ダートの重賞といえば、ベテランが頑張るイメージですが、平安Sに関しては逆。5歳以下の若馬が断然強く、中でも、前走6枠から8枠に入った馬は［3-1-4-9/17］。勝率17.6％、複勝率47.1％。単勝回収率170％、複勝回収率235％。かなりの良績を収めています。

（3）は、前走の馬場状態。
どういうわけか、平安Sは、前走左回りの競馬場でおこなわれたダート良馬場のレースに出走した馬が強く［3-2-3-8/16］。勝率18.8％、複勝率50.0％。単勝回収率158％、複勝回収率153％。文句なしの好成績でした。

続いて、（4）は前走の頭数について。
前走15頭立て以上のレースに出走した馬の成績が、今ひとつの当レース。対して、前走14頭立て以下のレースに出走した関西馬は［3-1-3-7/14］。勝率21.4％、複勝率50.0％。単勝回収率68％、複勝回収率120％。こちらも、該当馬の2頭に1頭が好走する指標でした。

折り返しの（5）は、種牡馬の系統。
平安Sは、エーピーインディ系を中心とするナスルーラ系種牡馬の産駒が強いレース。近年は京都と中京でおこなわれていますが、それに関係なく、3着内馬を5年連続で送り出しており［1-4-2-6/13］。複勝率53.8％。複勝回収率259％。とてつもない好成績でした。

これに対して、（6）は母父の系統。
逆に、母父の系統に目を向けると、ロイヤルチャージャー系種牡馬の独壇場。同系の種牡馬を母父に持つ馬の中でも、前走東京か地方、もしくは海外のレースに出走した馬は［5-2-1-3/11］。勝率45.5％、複勝率72.7％。単勝回収率301％、複勝回収率221％。恐ろしいほどの成績です。

終わりが見えてきた（7）は、前走の着差について。
当レースの好走馬に見られる、珍しい傾向がこれ。平安Sは前走大敗した馬が強く、前走勝ち馬から2秒以上、2秒9以内の負けだった馬は［3-1-0-5/9］。勝率33.3％、複勝率44.4％。単勝回収率282％、複勝回収率126％と、かなりの好成績。

もしくは、前走距離が1800ｍ以外。なおかつ10着以下だった馬も［2-2-1-7/12］。勝率16.7％、複勝率41.7％。単勝回収率196％、複勝回収率256％と、なかなかの成績です。

そして最後は（8）。前走からの間隔。
平安Sは、余裕のあるローテーションで臨む馬が有利。前走から中8週以上の間隔を開け、なおかつ前走の馬体重が480kg未満だと［3-0-2-2/7］。勝率42.9％、複勝率71.4％。単勝回収率181％、複勝回収率130％。こちらも、恐ろしいほどの好成績でした。

これら8つの項目を踏まえ、印と買い目を下記のとおりとします。

◎5　 ノットゥルノ
○2　 グロリアムンディ
▲9　 メイショウフンジン
☆6　 デルマルーヴル
△11　ハギノアレグリアス
△12　テリオスベル
△15　ヴァンヤール
△16　メイショウカズサ
△8　 ロードヴァレンチ
△1　 サンライズホープ

【買い目】

・馬単マルチ　5＝1、2、6、8、9、11、12、15、16　計18点
・馬単マルチ　2、9　計2点
・ワイド　5→1、2、6、8、9、11、12、15、16　計9点
・ワイド　2、9　計1点
・3連複ボックス　2、5、6、9　計4点

本命候補は、4項目に該当したグロリアムンディ、ノットゥルノ、メイショウフンジンの3頭。迷いますが、出走馬中、唯一のGI馬でもあるノットゥルノを本命としました。

5走前、GIのジャパンダートダービーを勝利したノットゥルノ。また、年末の東京大賞典も2着と好走しましたが、古馬と戦うようになってからの4戦中3戦で掲示板を外しています。

ただ、よく見ると、その3戦はいずれも左回りのレース。陣営も、左回りは苦手ということを認めており、右回りの今回。なおかつ、自身以外にGI馬がいないメンバー構成であれば、買わない手はありません。

馬券は、ノットゥルノからの馬単マルチとワイドですが、保険で、本命候補となったグロリアムンディとメイショウフンジンの馬単マルチとワイドも購入。また、2項目に該当したデルマルーヴルの一発を期待し、これら4頭の3連複ボックスも買います。

それでは、土曜日も競馬を楽しみましょう。最後までお読みいただき、ありがとうございました。