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競馬サロン

齋藤翔人

2023/09/16 19:00

【ローズS】 絶対女王に待ったをかけるか 新星ブレイディヴェーグ

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今週末の中央競馬は、久々の3日間開催。17日にローズS、18日がセントライト記念と、三冠最終戦のトライアルレースが続けておこなわれます。

いつもの流れであれば先週の振り返り、といきたいところですが、今回は秋華賞トライアルのローズSを予想するコラム。ということで、11日に亡くなった2006年の秋華賞馬カワカミプリンセスに触れようと思います。

とはいえ、カワカミプリンセスはオークスから秋華賞に直行し、勝利しました。そのため、厳密にはローズSと関係ありませんがご容赦ください。

さて、カワカミプリンセスの主戦を務めたのは、本田優元騎手(現調教師)。13日のサンスポさんの記事に、同馬の訃報を受け「『なんで走るのかな?』という馬でした。(今思えば)根性で走っていた馬だったと思う」とのコメントが掲載されていて驚きました。

というのも、おそらく視点は大きく異なると思いますが、私もまた同じように、なぜカワカミプリンセスがこれだけ走るのか。連勝街道を驀進できるのか。カワカミプリンセスや陣営、関係者の方々には大変失礼な話ですが、少なくとも秋華賞まではそんな思いを抱いていました。

そもそも、まずオークスを勝てたことがなぜ?でした(失礼な意味ではなく……)。

理由は複数あり、まずあげられるのがデビューの時期。カワカミプリンセスがデビューしたのは2月26日で、オークスまで3ヶ月を切っている状況。まるで間に合わないというわけではありませんが、月1回のペースで出走し、なおかつひとつも取りこぼせない状況です。

しかも、デビューの舞台はオークスより5ハロンも短い芝1400m。父キングヘイローが高松宮記念を勝利したことを考えれば適当な選択かもしれませんが、よもや、このレースを逃げ切った馬が、それからわずか3ヶ月後に樫の女王へ上り詰めることなど、誰が想像できたでしょうか。

また、同馬の血統背景も、なぜ?という疑問を抱くことになった理由の一つです。前述したように、カワカミプリンセスの父はキングヘイローで、今でこそ、世界最強馬イクイノックスや数多くの重賞ウイナーを送り出すなど、母の父として素晴らしい役割を果たしていますが、初年度産駒はJRAの重賞を勝っていません。

手にしたビッグタイトルは芝1200mの高松宮記念だけ。世界的名血にも関わらず、種付け料は初年度から2年連続150万円とリーズナブルで、カワカミプリンセスの母タカノセクレタリーに種付けされたのも供用2年目。その中から、突如としてこのような超大物が登場したという事実に驚かされました。

もちろん、当のカワカミプリンセスは、私がそんな疑問を抱くことになるとはつゆ知らず。単勝9番人気の低評価を覆して新馬戦を勝利すると、続く君子蘭賞も連勝。このときも6番人気と評価は決して高くありませんでしたが、デビュー戦とは一転、衝撃的な追込みで、関西の競馬ファンにその名を知られることになります。

その後、ようやく1番人気に推されたスイートピーSを勝利し、オークスの出走権を獲得したカワカミプリンセス。ただ、このスイートピーSがお世辞にもオークスに直結するとは言い難いレース。あれから17年が経過した現在でも、スイートピーSから本番を制したのはカワカミプリンセスのみ。他に連対したのも、2019年2着のカレンブーケドールだけです。

そのため、なぜこのローテーションで勝てるのか?という疑問が新たに出てきましたが、これはもう圧倒的に実力が抜けていたからでしょう。とりわけ、オークスに関しては父の父ダンシングブレーヴから受け継いだスタミナと瞬発力が大きく物を言いました。結果的に、キングヘイローを付けたことは大成功で、血統に関する疑問は解決されました。

ちなみに、無敗のオークス馬誕生は49年ぶり4頭目で、デビューから85日での同レース制覇は史上2番目の早さ。また、騎乗した本田優騎手は47歳4ヶ月でのオークス制覇となり、同レース史上最高齢勝利。管理する西浦勝一調教師とともに、2001年のオークスで3着に敗れたテイエムオーシャン(同年の桜花賞と秋華賞を勝利)の雪辱を果たし、牝馬三冠ジョッキーと牝馬三冠トレーナーが同時に誕生するという、記録ずくめの勝利でもありました。

さらに、秋になってもカワカミプリンセスの勢いは衰えることなく、秋華賞を制して連勝は継続。無敗で、オークス、秋華賞の二冠を制するのは史上初の快挙でしたが、このあたりから、徐々に勝負所での手応えの悪さが目立ち始めます。

苦しそうに少しヨレながら、やや頭の高い走り。それでも、なぜか最後はきっちりと伸びてくる??。

また新たな疑問が噴出しましたが、とにもかくにも、カワカミプリンセスは可憐な馬名とはおよそ似つかわしくない根性むき出しの走りで、世代最強牝馬の座を確固たるものとしました。

そして、運命の分かれ道となったデビュー6戦目のエリザベス女王杯。最後の直線、今度はやや内にヨレてしまったカワカミプリンセスは、1位入線を果たすも、他馬の進路を妨害したとして無念の12着に降着。無敗で、牝馬二冠と古馬混合のGIを勝利するという快挙は残念ながら実現されませんでした。

ただ、レース自体はこの日も勝負所でもたつきながら、最後は接戦の2着争いを尻目に1馬身1/2突き抜ける完勝。よもやの形で初黒星を喫したものの、この時点では、史上最強の牝馬ではないかとの声もあがりはじめていました。そのため、まさかこれが生涯最後の先頭ゴールインになるとは、ほとんどの人が予想できなかったのではないでしょうか。

その後は一転して、なぜ勝てないのかという疑問がつきまとうことになりますが、西浦調教師によると、4歳夏に骨折してからは思うような走りができなくなったそう。それでも、5歳時に出走したエリザベス女王杯で2着と好走し、改めて能力の高さを証明しました。

また、それ以外で私が忘れられないレースといえば、骨折する直前に出走した宝塚記念です。

この2007年におこなわれた宝塚記念は、前年の二冠馬メイショウサムソンや、ドバイデューティフリー(現ドバイターフ)を制したアドマイヤムーン。当年のダービー馬ウオッカ。GI4勝のダイワメジャーなど、レース史上最高といっても過言ではないメンバーが集結。
そんな大一番で、ハイペースながら道中先行したカワカミプリンセスは、手応えが悪くなるはずの4コーナーでもお構いなしとばかりに先頭に立ち、結果は6着と敗れたものの、見せ場たっぷりのレース。雨の道悪馬場を、またしても根性丸出し、男勝りの走りで駆け抜け、ウオッカやダイワメジャーにはしっかりと先着してみせたのです。

このように、私が抱いたなぜ?に対して、ことごとく力強い走りで答えてくれた名牝カワカミプリンセス。今のところ、自身を超える産駒は出ていませんが、ラストクロップとなるカワカミプリンセスの21は、本田優厩舎に入厩予定とのこと。この馬の明るいはずの未来を、温かい目で見守っていきたいと思います。

それでは予想に。

今回は、ローズSの過去5年を深掘り調査。好走傾向から重視できそうな指標を探し出し、軸となる馬を見つけます。

(1)前走間隔
(2)前走場所
(3)前走人気と母父
(4)生産牧場
(5)前走着順

近年の傾向から重視できそうな指標は、上記5項目。その中で、(1)は前走からの間隔です。
前走から、やや余裕のある間隔で臨む馬が好成績を収めているローズS。具体的には、前走から中4週以上の間隔を開け、前走馬体重が420kg以上480kg未満で2000mか2400mのレースに出走。さらに、前走3コーナーで7番手以内に位置していれば[4-2-2-7/15]。勝率26.7%、複勝率53.3%。単勝回収率133%、複勝回収率241%。ややこしすぎる条件ですが、サンプルは多く、該当馬の半数以上が好走している素晴らしい指標です。

次は(2)。前走場所について。
当レースは、前走東京、もしくは中京のレースに出走した馬が好調。その中でも、前走4コーナーで3番手以下に位置。なおかつ、前走頭数が今回よりも減るか、増える馬は(前走の出走頭数が今回と同じではない)[3-2-2-7/14]。勝率21.4%、複勝率50.0%。単勝回収率101%、複勝回収率165%。十分な数値です。

折り返しの(3)は、前走人気と母父。
過去5年のローズSで3着内に好走した15頭中7頭は、前走オークス組。中でも、前走9番人気以内。かつ母父がニアークティック系以外の種牡馬であれば[3-1-2-4/10]。勝率30.0%、複勝率60.0%。単勝回収率100%、複勝回収率108%と、好成績。

また、ディープインパクトを母の父に持つ馬は、他に条件をつけなくても[1-1-1-3/6]。勝率16.7%、複勝率50.0%。単勝回収率96%、複勝回収率396%。サンプルは少ないものの、複穴が出ています。
ちなみに、これら3着内馬3頭は、すべて中京2000mでおこなわれたローズSでの好走。ただ、ディープインパクト直仔は阪神芝1800mのローズSも得意にしていたので(産駒デビュー以降、複勝率34.2%。複勝回収率117%)、この指標も取り上げることにしました。

続いて(4)は生産牧場です。
ローズSでも強さを発揮しているノーザンファーム生産馬。(2)とやや重なりますが、同場生産馬の中でも、前走左回りのレースに出走。なおかつ、前走馬番が5から18番だった馬は[3-2-2-3/10]。勝率30.0%、複勝率70.0%。単複ともに回収率は131%と、驚異的な成績です。

そして、最後は(5)。前走着順について。
近年のローズSは、前走4、5着馬がやたらと強く[2-1-3-3/9]。勝率22.2%、複勝率66.7%。単勝回収率81%、複勝回収率336%と、凄まじい成績。

一方、前走1勝クラスで1番人気、2着以内。かつ上がり2位以内の馬は[1-2-2-9/14]。複勝率35.7%。複勝回収率146%。十分な成績です。

これら5つの指標を踏まえ、印と買い目を下記のとおりとしました。

◎5  ブレイディヴェーグ
○7  ラヴェル
▲2  ソーダズリング
☆3  レミージュ
△9  アンリーロード
△11 ココナッツブラウン
△6  ラファドゥラ
△15 ブライトジュエリー
△12 マスクトディーヴァ
△10 マラキナイア
△4  アリスヴェリテ
△14 コンクシェル


【買い目】

・馬単マルチ 5=2、3、4、6、7、9、10、11、12、14、15 計22点
・ワイド 5→2、3、4、6、7、9、10、11、12、14、15 計11点
・3連複軸1頭ながし 5→2、3、7 計3点
・3連単1着固定ながし 5→2、3、7→2、3、7 計6点
・3連単2着固定ながし 2、3、7→5→2、3、7 計6点


本命は、なんと5項目すべてに該当したブレイディヴェーグ。以下、3項目に該当したラヴェルを対抗とし、2項目該当のソーダズリングとレミージュの順に印をつけました。

父はロードカナロア。母インナーアージが二冠牝馬ミッキークイーンの全姉という良血のブレイディヴェーグは、ここまで3戦2勝。新馬戦は取りこぼしたものの、3戦すべてで上がり最速をマークし、前々走の未勝利戦は6馬身差の圧勝。前走の1勝クラスも、3馬身1/2差の完勝でした。

しかも、その時の勝ち時計は1分57秒9という素晴らしいタイム。6月までにおこなわれた2000m戦で1分58秒を切った3歳馬は、16年の皐月賞を制したディーマジェスティと、翌年の皐月賞を制したアルアインだけ。データが残っている1986年以降の条件戦では最速のタイムです。

今回は、それ以来およそ3ヶ月ぶりの実戦で、上位人気は間違いない状況。正直、馬券的な妙味はありませんが5項目すべてに該当しており、本命にしない理由がありません。絶対女王リバティアイランドに待ったをかける新星が誕生するか、注目しましょう。

馬券は、ブレイディヴェーグからの馬単マルチとワイド。さらに、ブレイディヴェーグから2項目以上に該当した3頭への3連複軸1頭ながしと、同馬を1、2着に固定した3連単を買います。

ところで、先々週のコラムにおいて、夏競馬で勝利をあげた注目の3歳馬としてコンクシェルを取り上げましたが、なんと今回は1項目も該当せず。ただ、ノーマークにする勇気は無いので印をつけたこと、お許しください。

それでは、日曜日も競馬を楽しみましょう。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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