【競馬サロン】読者の皆さん、こんにちは。

調教ライター・西村武輝です。

今週来週と3歳世代の最終決戦が京都舞台に行われますね。今週は3歳牝馬の3冠目「秋華賞」。

近年は“ぶっつけ”がトレンドとなっており、調教面からは春の実績馬が休みを挟んでどこまで成長を果たし、状態を元に戻しているかを確認したいところ。そしてトライアル好走組はそのデキをさらに上げているのか、もしくは下降線なのかを調教から見極めておきたいですね。

まずはシンプルに調整過程と動きの部分での気配評価、採点を行った以下のレポートをご確認ください。週末にはこの「調教診断」を軸として調教ライター・西村武輝の「印・見解・買い目」を公開する重賞の最終結論コラムもお届けいたします。こちらもどうぞご期待ください。

それでは以下「秋華賞」全頭追い切り診断となります。

●10月13日　秋華賞（GI、京都、芝2000m）

■アドマイヤベル　助手騎乗　美浦ウッド単走　1週前に3頭併せで強い負荷を掛けられており、今週は70-40ペースの単走で息を整える程度。緩い流れでも力みはなく、直線ではやや一本調子ながら程よい気合い乗りから伸びた。悪くない仕上がり。【6】

■クイーンズウォーク　助手騎乗　栗東坂路単走　先週川田騎手を背にCWで速い時計を出したのが実質の最終追い。今週は坂路単走でリラックスさせることに専念するような内容をこなした。時計は平凡も踏み込みは力強く、ブレの少ないシャープなフォームで駆けていたのは好感。デキ落ちはなく、高いレベルで安定だ。【7】

■クリスマスパレード　助手騎乗　栗東坂路単走　短期放牧から美浦へ戻ってすぐ栗東に移り、最終調整も栗東で。輸送後を考慮し、軽めの調整に留まっている。若干の重苦しさはありつつ、馬なりを保って駆け抜けた。前走の反動は少なからずありそうだが、極端なデキ落ちまではないか。【6】

■コガネノソラ　助手騎乗　美浦ポリ単走　1週前にウッドで強い負荷を掛けられたのが実質の最終追い。輸送を控えた今週はポリで14-14程度の内容消化に留まった。とはいえ2頭を外からマクり、実戦感覚の維持にも努める。格下相手とはいえ、気迫満々に楽々抜け出し最後は流して併入。1週前の動きは申し分なかったし、持てる力をフルに出せそう。【7】

■ステレンボッシュ　戸崎騎手騎乗　栗東CW併せ馬　帰厩後すぐに栗東入りして現地で調整されている。最終追いは関東勢2頭との3頭併せで、中央に陣取る形。直線では早々と手が動き、外の1勝クラスには先着したものの、内後方から来たミアネーロ（同じ秋華賞に出走）に完全にアオられる形でなんとか併入だった。1週前の坂路でも目一杯追われてなんとか格下と併入で、素軽さはいまひとつ。2週続けて強く追われたことで、本番までにどこまで良くなるかだろう。【6】

■セキトバイースト　藤岡佑騎手騎乗　栗東CW単走　直線が平坦な京都への対応ということか、前走は坂路だった最終追いは今回CWで。4Fからの時計で気持ちを維持させることを主眼に置いたような軽めの調整だった。加速して頭が高くなり、前後の連動性もややバランスを欠いたが、素軽さは上々の域。体調はいい状態だろう。前走で激走した反動は少なく、順調と言える。【6】

■タガノエルピーダ　団野騎手騎乗　栗東坂路併せ馬　序盤は折り合いに専念し、終いにしっかり負荷を掛けるメリハリを意識した内容。並んでから若干だけ手応えで見劣ったが、仕掛けに力強く反応し手前をスッと替えると1馬身抜け出しての先着を果たした。CWから坂路最終追いに切り替えたのがどう出るかだが、体調はかなり良さそう。前走時からの上積みは大きく見込める。【7】

■チェルヴィニア　助手騎乗　美浦ウッド併せ馬　前後に馬を置く隊列で入り、直線では左右からタイトに挟む“木村厩舎流”の3頭併せ。上々の操縦性で滑らかなコーナリングで直線に入り、まったくの馬なりのまま重心をグンと沈めて加速していく。結局左右2頭に合わせるようにして楽々と併入。1週前にはウッドの自己ベストを更新するなど、ここまでの乗り込みは順調そのもので、オークス以来となるが持てる力をフルに出せそう。【7】

■チルカーノ　助手騎乗　栗東坂路単走　軽い調整で仕上がるタイプ。いつも通り14-14ペースで入り、坂の途中で促されると機敏に手前を替えて加速して駆け抜けた。中間は併せ馬3本を消化できており体調面、メンタル面はかなりいい状況のようだ。力関係はどうかも、仕上がりは上々と言える。【7】

■ホーエリート　助手騎乗　美浦ウッド併せ馬　前後に馬を置いての3頭併せ。直線の入り際で力みがあり、少しだけ加速に手間取るが一定の素軽さを保って駆け抜け脱落した1頭に先着、もう1頭と併入とした。精神面であとひと息な感はあるが、力強さは出てきた。前走よりはいい状態で走れるのでは。【6】

■ボンドガール　助手騎乗　美浦坂路単走　1週前ウッドである程度速い時計を出しており、今週は坂路調整。前2頭を追いかける形だが不良馬場に脚を取られるような感じでスピードに乗っていけず、ラストも失速し1F13秒9（一杯）と要してしまった。馬場の向き不向きがあるにせよ、気迫の面でなんらか引っ掛かりがありそう。攻め気配は強調しづらい。【5】

■ミアネーロ　津村騎手騎乗　栗東CW併せ馬　前走後に栗東へ入っている。最終追いは同じ秋華賞に出走するステレンボッシュら2頭を追走し、CW3頭併せ。序盤からいい気合い乗りで前2頭に迫っていき、直線半ばで満を持してギアチェンジするとステレンボッシュに対し手応え優勢で併入。もう1頭には大きく先着としている。日曜のCW追いでも速い時計を出せており、体調はすこぶる良好のよう。前走時もいい仕上がりに思えたが、そこから数段上の絶好の仕上がりだ。【8】

■ラヴァンダ　助手騎乗　栗東坂路単走　1週前にCWで自己ベストを更新したのが実質の最終追い。今週は坂路で終い重点の内容を消化した。混雑したなかでも自分のリズムを崩さず、まとまりのあるフォームで登坂。ラストは渋った馬場をものともせず、鞍上の仕掛けに鋭く反応し加速ラップで締めくくった。前走からの大きな上積みを見込める。【7】

■ラビットアイ　助手騎乗　栗東CW併せ馬　先週ある程度の負荷はかかっており、今週は2歳未勝利馬を相手に操縦性の微調整を施す程度。相手もいい抵抗を見せるが、大きなストライドからしっかり取り付いて手応え優勢での併入としている。まだ良化の余地は残すが、太め残りだった前走より一歩前進か。【6】

■ランスオブクイーン　松山騎手騎乗　栗東ポリ併せ馬　デビュー前の新馬2頭を追い、直線では最内に。一本調子なままで、結局2頭に遅れ入線に終わったが華奢な馬の中2週を考慮し無理をさせない意図もあっただろう。本数自体はこなせているし、ひとまず順調といったところ。【6】


＜追い切り評価＞は最終追いを含めた中間の調整全体の総合評価となり、10段階評価（10が最高、1が最低）です。