●11月9日　武蔵野S（GIII、東京、ダ1600m）

【競馬サロン】読者の皆さん、こんにちは。

調教ライター・西村武輝です。今週も前置きなしでシンプルに各重賞の調教採点をお届けいたします。

それでは以下「武蔵野S」全頭追い切り診断となります。

■イーグルノワール　助手騎乗　栗東坂路併せ馬　坂の序盤から2勝クラスと併走し、ラストは激しい追い比べを展開。序盤飛ばした分最後にやや勢いは鈍ったが、渋太く脚を伸ばし、相手をねじ伏せる形でクビほど先着とした。3週続けて目一杯追われて問題ないあたり、体調は良さそう。3か月半ぶりだった前走から着実に良化。【6】

■エルゲルージ　藤岡佑騎手騎乗　栗東坂路単走　走路が大混雑した時間帯に敢えて追い、自分のリズムで走る感覚を涵養するような内容。意図した通り、力まず泰然と加速していくと、ラストは前が壁になって追いづらい状況ながらスッと脚を伸ばすことができていた。大型馬が秋初戦を使われ、グンと良くなってきたか。【7】

■エンペラーワケア　助手騎乗　栗東坂路単走　1週前に併せ馬で強い負荷を掛けられており、これが実質の最終追い。今週は序盤はリズム重視に徹し、ラストの反応を確かめる程度の内容となった。ブレの極めて少ないシャープなフォームで駆け上がり、ラストは機敏に手前を替えまったくの馬なりのままスパッと弾けた。終始落ち着きがあり、仕掛けを待てる余裕があったのが好印象。一連のいい状態をしっかりキープできている。【7】

■カズペトシーン　助手騎乗　栗東坂路単走　1週前に強い負荷を掛けられており、輸送を控えた今週は終い重点の内容。ゆったりとした入りにやや力んだようだが、坂の半ばで促されると力強い踏み込みからジワジワと加速した。少ない本数でも仕上がるタイプで、中7週とすれば悪くない状態。【6】

■キタノヴィジョン　戸崎騎手騎乗　美浦ウッド併せ馬　2勝クラスを5馬身追走。コーナーワークで巧みに取り付いていくと、併走では終始前へ前へ出ようとする気持ちの強さを見せ、最後は相手に合わせて併入とした。GI級レースを走っての中3週だが、先週ウッド5F66秒台を出せているように疲れはすぐ抜けたよう。高いレベルで安定。【7】

■コスタノヴァ　助手騎乗　美浦ウッド併せ馬　“木村厩舎流”のウッド3頭併せ。終い重点のリズムでも力まず、直線では外先行の馬が前に行き過ぎたが、これにつられず内の馬との併せ馬に集中する。ラストは溜めた脚をスパッと弾けさせ、行き過ぎた外の馬もキャッチアップ。3頭横並びで併入とした。鞍上の指示にすんなり従えるあたり、精神面はかなりいい状態にありそう。中間はウッド5F66秒台を2本こなしており、体調も万全。【7】※出走回避

■サヴァ　助手騎乗　栗東坂路併せ馬　1週前にCW併せ馬で強い負荷を掛けられており、今週は終いだけ重点の内容。2勝クラスと併走し、オープン馬の貫禄を示すようにまとまりのあるフォームで加速。相手に合わせた形で併入とした。1週前の動きが案外だったが、この雰囲気なら問題ない。自分の競馬はできそうだ。【6】

■サンライズホーク　M.デムーロ騎手騎乗　栗東坂路単走　終始右に張り気味ながら、鞍上が絶妙に制御。ラストで手前を替えてからは、単走とすれば上々の気迫を感じさせつつ伸びた。1週前は楽にCWで好時計を出せているし、9月に地方で2回使われた疲れは感じさせない。いい状態で走れそう。【7】

■ショウナンライシン　助手騎乗　美浦坂路併せ馬　1週前にウッドで猛時計を出しており、今週は脚慣らし程度の内容。準オープン馬に手応え優勢を保って併入とした。最後まで素軽く、体幹も安定。ひと息入った前走で激走した反動はなく、以前好調域にある。【7】

■ゼットリアン　助手騎乗　栗東CW単走　吉田厩舎恒例の火曜日追い仕上げ。終始馬なりながら強い前進気勢から速いラップを刻んで進み、その分ラストはやや勢いは鈍ったものの馬なりを保って1F12秒5でまとめている。馬場の外を回ったことを考えれば悪くない数字だ。華奢な馬が2週前、1週前と余念なく追われているあたり、体調は安定してそう。4カ月半ぶりの前走で健闘した反動はなく、着実に良化。【6】

■タマモロック　小林凌騎手騎乗　美浦ウッド併せ馬　2勝クラスを先に行かせ、外から大きくマクる意欲的な調整。スムーズなコーナリングから併走に持ち込むと手応えで圧倒。結局自然と切れ勝ちして1馬身抜け出しての先着を果たした。終始落ち着いて走れており、しっかり脚を溜めることができていたのは好感。中間の攻めも濃い内容で、前走時を使われての上積みは相当か。目下最高潮のデキ。【8】

■ドルチェモア　斎藤騎手騎乗　栗東坂路併せ馬　1勝クラスに取り付いて併走。活気は感じさせるが、全体の重心が上ずるような感じで踏み込みがどうにも浅い。結局手応え劣勢で切れ負けしクビほどの遅れ入線となっている。体調はいいのだろうが、気持ちの面でどうか。変わり身は強調しづらい。【5】

■ビヨンドザファザー　助手騎乗　栗東CW併せ馬　2歳1勝馬と直線で激しい追い比べを展開するが、ジリッとした伸びに留まり2馬身ほどの遅れ入線に終わっている。見栄えは悪いがいつも稽古ではこんなもの。夏にフル稼働しており上積みはさすがになさそうだが、体調は安定。【6】

■ペイシャエス　横山和騎手騎乗　美浦ウッド単走　1週前にウッド5F65秒7（一杯）を出したのが実質の最終追い。今週は終い重点の内容で鞍上が微調整に専念するような内容だった。直線で手前を替えてからの加速がワンテンポ遅かったが、ギアが入ってからの伸びはさすがの迫力あり。ここまでの乗り込み量は豊富で、ほぼ万全と言える。【7】

■ペリエール　石川騎手騎乗　美浦ウッド単走　1週前にしっかり負荷を掛けられており、今週は終い重点で確認程度。緩いペースでやや掛かり気味ではあったが、直線に正対してからはスムーズに加速。外ラチ沿いを体を大きく使って伸びた。高いレベルで安定。【7】

■メイショウテンスイ　助手騎乗　栗東坂路単走　1週前にCW5F64秒2（一杯）という猛時計を出しており、輸送を控えた今週は終い重点の内容。終始右に張り気味であったが力感あふれる雰囲気で登坂し、ラストは目一杯しごかれて1F11秒9をマークした。超大型馬だけにまだ良化の余地はありそうだが、ひとまず走れる態勢。【6】

＜追い切り評価＞は最終追いを含めた中間の調整全体の総合評価となり、10段階評価（10が最高、1が最低）です。
（Text:Nishimura）