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UMAJIN.net編集部
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12月の風物詩となった香港国際競走。この記事では香港カップ(GI・芝2000m)の過去10年データを分析した。
■コースについて
香港国際競走が開催されるのはシャティン競馬場。右回りの平坦コース、さらにはいわゆる「洋芝」というところから、イメージとしては札幌競馬場や函館競馬場のような感覚だろうか。一方で、直線の入り口からゴール板までは430mと京都競馬場の外回りの直線(404m)より長い設定となっている。末脚自慢の馬が差し切ることも可能なコースレイアウトだ。
2000mのスタート地点はスタンド前。スタート後、1角までの距離が短いので、序盤の位置取り争いが見どころになる。
■枠について
1番【4-0-2-4】
2番【0-2-1-7】
3番【2-3-1-4】
4番【0-0-1-9】
5番【1-1-0-8】
6番【0-0-0-10】
7番【0-0-2-8】
8番【2-2-1-5】
9番【0-1-1-6】
10番【0-1-1-5】
11番【1-0-0-5】
12番【0-0-0-5】
13番【0-0-0-1】
まず目を引くのが1番枠に入った馬の好成績。勝率40.0%、複勝率60.0%は他の追随を許さない数字だ。また、3番枠も勝率20.0%、連対率50.0%、複勝率60.0%と1番枠に勝るとも劣らない数字。1-5番枠に入った馬が過去10年で7勝を挙げているように内枠有利のレースだと覚えておきたい。
反対に外枠は苦戦傾向。フタ桁ゲート番で勝利を挙げたのは2015年のエイシンヒカリのみ。この時は逃げての勝利であり、枠なりに外を回すと厳しいレースになりそうだ。
■調教国について
調教国別の成績を見ると、日本調教馬が【4-4-2-11】で勝率19.0%、連対率38.1%、複勝率47.6%と最も優れた数字を残している。地元香港調教馬は【6-4-3-39】と勝ち星、3着以内数では日本調教馬を上回る数字を残しているが、出走頭数も多い分、率に直すと日本調教馬の後塵を拝す形に。
2019年、2020年と2年連続で3着以内に食い込んだのがアイルランド調教馬。ともに管理していたのはアイルランドの名伯楽・A.オブライエン調教師だった。同調教師は今年ボリショイバレエを出走させる予定。今年の英ダービーにおいて現地で1番人気に支持されたほどの素質馬。激走に期待したい。
また、A.オブライエン師の師匠、J.ボルジャー調教師が管理する今年の愛2000ギニー勝ち馬マックスウィニーにも注目だ。
イギリス調教馬は過去10年で【0-0-0-9】と苦戦傾向。1番人気に支持されるような馬がいなかったという事情はあるにせよ、少々気になるデータではある。今年参戦する英国調教馬は上位人気が予想されるドバイオナー。データを覆すことができるか。
■ローテーションについて
香港馬は前哨戦であるジョッキークラブカップから参戦した馬の成績が圧倒的。というよりも、ジョッキークラブカップ以外から参戦した香港馬はこの10年で3着以内に入ったことがない。2011年もジョッキークラブマイルから参戦し現地で1番人気に支持されたアンビシャスドラゴンが4着に敗れている。
日本馬の参戦パターンとしてメジャーなのは天皇賞・秋からの参戦。2015年1着のエイシンヒカリ、2016年1着のモーリスや2019年、2020年と2年連続で好走したウインブライトがこのローテーションを選んでいた。また、エリザベス女王杯組も好走馬を送り出している。2015年2着のヌーヴォレコルトや2020年1着のノームコアがこのパターンだった。
ブリーダーズCターフから参戦する馬はここ数年いなかったが、昨年マジカルがブリーダーズCターフから参戦し3着に好走。ブリーダーズCフィリー&メアターフから参戦した馬は近10年では存在しなかった。ラヴズオンリーユーはパイオニアとなれるか。
■血統傾向について
近10年における上位馬の成績を見ると、サンデーサイレンス系が2勝、2着3回、3着2回、ダンチヒ系が2勝、2着4回、3着2回とこの2系統が他の系統に比べて優秀な成績を収めていた。ダンチヒ系はいずれもデインヒルを経由していたことにも注目したい。
サンデーサイレンス系優位というのは、日本馬優勢という流れとリンクしたものであろう。今年の選出馬でサンデーサイレンス系はラヴズオンリーユーとレイパパレの牝馬2頭と天皇賞・秋5着のヒシイグアスの3頭が該当。
デインヒル経由のダンチヒ系は地元香港のトゥールビヨンダイヤモンド、ベルリンタンゴの2頭が該当する。
また、近2年で3着以内に入ったアイルランド調教馬はいずれもサドラーズウェルズ系だった。今年サドラーズウェルズ系に該当するのは、グロリアスドラゴン、ロシアンエンペラー、マックスウィニー、ボリショイバレエの4頭。このうち、マックスウィニーとボリショイバレエがアイルランド調教馬だ。
ミスタープロスペクター系は2013年1着のアキードモフィード以来、3着以内がない。ミスタープロスペクター系プライドオブドバイの産駒ドバイオナーにとってはこのデータも気になるところだ。
■データからの注目馬
・ヒシイグアス
ラヴズオンリーユー、レイパパレの華やかな牝馬2頭の影に隠れてしまっているものの、データからはヒシイグアスも負けていない。サンデーサイレンス系ハーツクライの産駒、天皇賞・秋からの参戦というのは香港Cで活躍した日本馬のパターンとしては王道だ。管理するのはモーリスやネオリアリズムなど香港国際競走での実績が豊富な堀調教師。軽視は禁物だ。
・レイパパレ
日本の牝馬2頭からはエリザベス女王杯からのローテーションとなるこちらをピックアップ。サンデーサイレンス系ディープインパクトの産駒であり血統的な適性も見込める。2200mはやや長かった印象もあり、ベストの2000mで巻き返しに期待。
・ボリショイバレエ
ブリーダーズCターフ6着からの参戦。近2年連続で好走馬を送り出しているアイルランドのA.オブライエン調教師の管理馬という点は強い推し要素。全4勝中3勝を挙げている得意の2000mなら十分にチャンスがありそうだ。欧州馬らしく馬群で我慢するのが得意なので、内枠ならレース傾向とあわせて注目度アップ。
■その他の香港国際競走データ分析はコチラから
【香港マイル】データから見る香港マイル
【香港スプリント】データから見る香港スプリント
【香港ヴァーズ】データから見る香港ヴァーズ
2021/12/08 20:00
【香港カップ】データから見る香港カップ


12月の風物詩となった香港国際競走。この記事では香港カップ(GI・芝2000m)の過去10年データを分析した。
■コースについて
香港国際競走が開催されるのはシャティン競馬場。右回りの平坦コース、さらにはいわゆる「洋芝」というところから、イメージとしては札幌競馬場や函館競馬場のような感覚だろうか。一方で、直線の入り口からゴール板までは430mと京都競馬場の外回りの直線(404m)より長い設定となっている。末脚自慢の馬が差し切ることも可能なコースレイアウトだ。
2000mのスタート地点はスタンド前。スタート後、1角までの距離が短いので、序盤の位置取り争いが見どころになる。
■枠について
1番【4-0-2-4】
2番【0-2-1-7】
3番【2-3-1-4】
4番【0-0-1-9】
5番【1-1-0-8】
6番【0-0-0-10】
7番【0-0-2-8】
8番【2-2-1-5】
9番【0-1-1-6】
10番【0-1-1-5】
11番【1-0-0-5】
12番【0-0-0-5】
13番【0-0-0-1】
まず目を引くのが1番枠に入った馬の好成績。勝率40.0%、複勝率60.0%は他の追随を許さない数字だ。また、3番枠も勝率20.0%、連対率50.0%、複勝率60.0%と1番枠に勝るとも劣らない数字。1-5番枠に入った馬が過去10年で7勝を挙げているように内枠有利のレースだと覚えておきたい。
反対に外枠は苦戦傾向。フタ桁ゲート番で勝利を挙げたのは2015年のエイシンヒカリのみ。この時は逃げての勝利であり、枠なりに外を回すと厳しいレースになりそうだ。
■調教国について
調教国別の成績を見ると、日本調教馬が【4-4-2-11】で勝率19.0%、連対率38.1%、複勝率47.6%と最も優れた数字を残している。地元香港調教馬は【6-4-3-39】と勝ち星、3着以内数では日本調教馬を上回る数字を残しているが、出走頭数も多い分、率に直すと日本調教馬の後塵を拝す形に。
2019年、2020年と2年連続で3着以内に食い込んだのがアイルランド調教馬。ともに管理していたのはアイルランドの名伯楽・A.オブライエン調教師だった。同調教師は今年ボリショイバレエを出走させる予定。今年の英ダービーにおいて現地で1番人気に支持されたほどの素質馬。激走に期待したい。
また、A.オブライエン師の師匠、J.ボルジャー調教師が管理する今年の愛2000ギニー勝ち馬マックスウィニーにも注目だ。
イギリス調教馬は過去10年で【0-0-0-9】と苦戦傾向。1番人気に支持されるような馬がいなかったという事情はあるにせよ、少々気になるデータではある。今年参戦する英国調教馬は上位人気が予想されるドバイオナー。データを覆すことができるか。
■ローテーションについて
香港馬は前哨戦であるジョッキークラブカップから参戦した馬の成績が圧倒的。というよりも、ジョッキークラブカップ以外から参戦した香港馬はこの10年で3着以内に入ったことがない。2011年もジョッキークラブマイルから参戦し現地で1番人気に支持されたアンビシャスドラゴンが4着に敗れている。
日本馬の参戦パターンとしてメジャーなのは天皇賞・秋からの参戦。2015年1着のエイシンヒカリ、2016年1着のモーリスや2019年、2020年と2年連続で好走したウインブライトがこのローテーションを選んでいた。また、エリザベス女王杯組も好走馬を送り出している。2015年2着のヌーヴォレコルトや2020年1着のノームコアがこのパターンだった。
ブリーダーズCターフから参戦する馬はここ数年いなかったが、昨年マジカルがブリーダーズCターフから参戦し3着に好走。ブリーダーズCフィリー&メアターフから参戦した馬は近10年では存在しなかった。ラヴズオンリーユーはパイオニアとなれるか。
■血統傾向について
近10年における上位馬の成績を見ると、サンデーサイレンス系が2勝、2着3回、3着2回、ダンチヒ系が2勝、2着4回、3着2回とこの2系統が他の系統に比べて優秀な成績を収めていた。ダンチヒ系はいずれもデインヒルを経由していたことにも注目したい。
サンデーサイレンス系優位というのは、日本馬優勢という流れとリンクしたものであろう。今年の選出馬でサンデーサイレンス系はラヴズオンリーユーとレイパパレの牝馬2頭と天皇賞・秋5着のヒシイグアスの3頭が該当。
デインヒル経由のダンチヒ系は地元香港のトゥールビヨンダイヤモンド、ベルリンタンゴの2頭が該当する。
また、近2年で3着以内に入ったアイルランド調教馬はいずれもサドラーズウェルズ系だった。今年サドラーズウェルズ系に該当するのは、グロリアスドラゴン、ロシアンエンペラー、マックスウィニー、ボリショイバレエの4頭。このうち、マックスウィニーとボリショイバレエがアイルランド調教馬だ。
ミスタープロスペクター系は2013年1着のアキードモフィード以来、3着以内がない。ミスタープロスペクター系プライドオブドバイの産駒ドバイオナーにとってはこのデータも気になるところだ。
■データからの注目馬
・ヒシイグアス
ラヴズオンリーユー、レイパパレの華やかな牝馬2頭の影に隠れてしまっているものの、データからはヒシイグアスも負けていない。サンデーサイレンス系ハーツクライの産駒、天皇賞・秋からの参戦というのは香港Cで活躍した日本馬のパターンとしては王道だ。管理するのはモーリスやネオリアリズムなど香港国際競走での実績が豊富な堀調教師。軽視は禁物だ。
・レイパパレ
日本の牝馬2頭からはエリザベス女王杯からのローテーションとなるこちらをピックアップ。サンデーサイレンス系ディープインパクトの産駒であり血統的な適性も見込める。2200mはやや長かった印象もあり、ベストの2000mで巻き返しに期待。
・ボリショイバレエ
ブリーダーズCターフ6着からの参戦。近2年連続で好走馬を送り出しているアイルランドのA.オブライエン調教師の管理馬という点は強い推し要素。全4勝中3勝を挙げている得意の2000mなら十分にチャンスがありそうだ。欧州馬らしく馬群で我慢するのが得意なので、内枠ならレース傾向とあわせて注目度アップ。
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