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田原基成

2018/09/13 18:10

トライアルでこそ問われる騎手の重要性

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先週の紫苑Sを皮切りに本格化を迎えた秋のトライアルレース。陣営がどのような狙いで管理馬を出走させるかを読み解く作業が欠かせなくなる。

紫苑Sを振り返ると、勝ったノームコアはC.ルメールへの乗り替わり。同騎手が牝馬三冠に王手をかけたアーモンドアイの主戦であることは知るところだが、それを承知で陣営は鞍上のスイッチを決断した。

一発勝負のトーナメントにおいて、もっとも重要な試合は準決勝であると私は捉えている。野球のWBCにたとえると、過去4回大会の準決勝先発は上原、松坂、前田、菅野。いずれも球界を代表するエース級ピッチャーかつその大会で特に信頼度の高い選手だった。

競馬における準決勝=トライアルレース。このように位置付けたとき、ひとつの仮説が浮かび上がる。

「トライアルこそ、騎手の重要性が問われるのでは?」

騎手の勢力図が大きく塗り替えられたのは2015年。M.デムーロ、C.ルメールがJRAの通年騎手免許を取得した年だ。2015年以降、9月に行われた3歳トライアル重賞の騎手別成績を挙げてみると……

・C.ルメール【5-1-0-3】複勝率66.7%
・横山典弘【1-2-0-2】複勝率60.0%
・蛯名正義【1-0-1-2】複勝率50.0%
・四位洋文【0-0-3-3】複勝率50.0%
・武豊【0-1-2-4】複勝率42.9%
・M.デムーロ【0-1-1-3】複勝率40.0%

ここで注目すべきは騎手の年齢。6人の平均年齢は45.1歳と、他のアスリートと比較して息の長い職業特性を差し引いても高齢であることは間違いない。土壇場のシチュエーションでこそ発揮される「ベテランの経験」に頼る陣営の意図が見え隠れする。

さらに興味深いのが、上記のような結果を出した騎手に「乗り替わり」での好走が多い点。

C.ルメールの場合は冒頭のノームコア以外にタッチングスピーチを勝利へと導いた。昨年のセントライト記念、ローズSで本番への権利獲得に貢献した横山典弘はいずれも乗り替わりでの騎乗……トライアルは「陣営がもっとも信頼する騎手」を判定するリトマス試験紙という言い方ができるのかもしれない。

M.デムーロについても触れておきたい。

騎乗馬の質を考慮すると【0-1-1-3】複勝率40.0%の成績は物足りなくも映る。しかし、ここで注目すべきはトライアルで騎乗した馬の次走GI成績だ。

【クイーンズリング】ローズS5着→秋華賞2着
【ジュエラー】ローズS11着→秋華賞4着
【モズカッチャン】ローズS7着→秋華賞3着
【サトノクロニクル】セントライト記念3着→菊花賞10着
【キセキ】神戸新聞杯2着→菊花賞1着

サトノクロニクルを除く4頭がトライアル→本番と継続騎乗。恐ろしいことに、4頭すべてが本番で大幅に着順をジャンプアップさせている。トライアルと本番との割り切りが「GIのデムーロ」と呼ばれるゆえんだ。

最後に、今週行われるローズS、セントライト記念の出走馬と主な騎手を挙げたい。

【ローズS】
・カンタービレ(C.ルメール)
・ゴージャスランチ(横山典弘)
・サトノワルキューレ(M.デムーロ)

【セントライト記念】
・ブレステイキング(M.デムーロ)
・レイエンダ(C.ルメール)

関東馬ブレステイキングに騎乗予定のM.デムーロに目を奪われるのは私だけだろうか。秋の3歳牡馬路線にこれといったお手馬はなく、トライアルのパフォーマンス次第で本番の騎乗馬が変わる状況。陣営がメイチに近い仕上げを施し、確かな結果を残すことで本番での騎乗に対する「色気」を匂わせる演出は十分考えられる。

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